第30話 虧くも盈つるも同じ月

「明日には私、いないのに。ずっと愛してくれるなんて夢……」

「分かった。僕は、あの月に誓うよ。どれだけ世界が変わっても、君への想いは変わらないって」

 青年の導く先には、夜空に皓皓と佇む、一つの月が浮かんでいる。

「だめ。月は毎夜、姿を変えるじゃない」

 弱々しく首を振る少女。

 青年は微笑みを絶やさずに、月を指して語る。

「違う。移ろうように見えるあの月は、光の当たり方で見え方が変わっているだけなんだ。欠けも満ちもするけど、月という天体は決して変わらないよ」

 二人は夜空を見上げる。彼方に浮かぶ半月が、静かに二人を見守っていた。

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