第27話 名輝
「ごめんくださーい。××さんいらっしゃいますか?」
祖父母の担当さんがまた来た。僕は足早に玄関で出迎える。
「すみません。祖父母は今、カナダでアートワーク撮りに行ってまして」
「はぁ。分かりました、打ち合わせは別日にしましょう」
担当さんは玄関に飾られている、祖父母のサインが書かれた写真に目を移す。
「いつみてもいい写真ですよねー」
祖母は世界的に有名な写真家である。そして祖父もまた、界隈では有名な人だ。
「それに××って名前も、縁起いいですよねー」
祖父の名前は縁起がいい。祖母の写真に箔をかける祖父の名もまた作品なのだ。
「ではまた別日に来ますので。××さんたちに伝えておいてくださいねー」
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