第21話 巌
三日間の有給休暇を使って、近場の避暑地へ旅行に行くことにした。昼頃から車を走らせて間もなく二時間になる時、俺はあるトラブルに遭遇した。
「渋滞かよ……」
空調を効かせた車内で俺は独り言ちる。
ふと隣の車を見る。ワインレッドの軽自動車に乗った男は、サイドガラスを全開にし、コンビニ袋から取り出したサンドイッチを頬張っている。俺は少しでも気を紛らわそうと、彼に話しかけた。
「すごい渋滞ですね。工事とかですかね?」
「……岩ですよ。岩が、道路に降ってきたんです」
彼は嘘とも誠ともつかない声色で眉一つ動かさずサンドイッチを頬張っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます