第17話 雨雲

 「雲って……美味そうだなぁ……」

「分かるぅ。分かるけど、あれは水の集合体だよ」

「へぇー。じゃあ、雲って飲めるの? 雲って飲み物なの?」

「でも雲の中って塵とか埃でいっぱいだよ、汚いよ」

「そうなの? そっかぁー。じゃあ飲まないようにする」

 その時、二人の頭上の雨雲から、ポツリと雨が降り始めた。

「うわぁぁぁ! 雲の水、口に入ったぁ……うえぇ、ばっちぃ……」

「別に病気にはならないから大丈夫だよ」

「そうなの? じゃあたくさん飲も!」

 絶え間なく降り続く雨に向けて、一人は口を開けていた。

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