第7話 真珠母雲
北極では最近、頻繁に真珠母雲の発生が観測されていた。成層圏上を虹色に揺らめきながら揺蕩うそれの画像は、みるみる巷に広まっていった。
その日、ある団体客が北極から数キロ離れた観測点にいた。例の真珠母雲を一目見ようと、観光ツアーに参加した面々である。
やがて夜も更けようとした頃、空中の雲が確かに、鮮やかに彩られている。見物人たちは各々カメラレンズを雲に向ける。だが、
「おい……なんだよ、あれ……」
誰かが震える声で呟く。虹色の雲間の奥、ギロリと無数の眼が人々を見ていた。そしてそれは雲を掻き分け、その氷山のように巨大な玉虫色の体躯を露わにした。
恐ろしき怪物の姿を見て、誰かが声を漏らした。「王」と。
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