第16話 immortal

 「死神さん、もう時間だ。早く俺を彼岸に連れてってくれ」

 死神が手持ちの鎌を振り下ろした。男の肉体は死に、魂が男の体から抜け出る。

「では、冥府へとご案内を……」

 死神が男の魂を連れようとした。が、ある異変に気付いた。なんと今さっき活動を停止したはずの男の肉体が、眠りから覚めるようにむくりと起き上がったのだ。

「えっ?!……あっ! そういえば俺、昔黒魔術に凝っててさ、万が一死んだとき用に蘇りの儀式してたんだっけ。わりぃわりぃ」

「悪いじゃないですよ! 魂の抜けたまま肉体が蘇……ほらもうゾンビですって!」

「確かにっ。なんかウーウー呻きながら歩いてるな……」

 魂の抜けた体がよろめきつつ去っていくのを、死神たちはただ呆然と見ていた。

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