第21話 とんかつ

 「あ~疲れた……」

 今日も残業を終えて、午後十一時。疲労感を全身に感じつつスーツ姿のままベッドに突っ伏す。

「あー」

 生気の抜けた声を出してみる。腹減った。

 すると、先ほどまで何もないテーブルの上に、出来立てのとんかつが現れた。

 俺には生まれつき願いを叶える力がある。食欲限定で。しかもとんかつ。

 湯気の昇るとんかつに中濃ソースをかけ、一切れを口に運ぶ。サクッ、衣が小気味よい食感を口内に与える。すぐに中身の肉を噛む。肉厚な噛み応えが口内に広がり、肉汁が舌の上を踊る。ジューシーな食感が舌を刺激して……あー旨い!

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