第13話 紐
朝起きたら、天井から紐がぶら下がっていた。
俺はバイトまでまだ時間があったので、その紐を好奇心に駆られて引いてみることにしてみた。赤色のちょっと太い紐だ。紐を持って軽く引っ張ってみる。
――特に何も起こらない。俺は安心したような、残念なような複雑な気持ちになったので、早めにバイト先に行くことにした。
自転車を駆ってバイト先に向かう途中、俺は少し違和感を覚えていた。
空が青い。いや、厳密にはポスト、木々、信号、赤や黄色などの暖色系の色が、景色から消えていた。俺は言いようない恐怖を感じて、とっととバイトに向かう。自転車をさらに加速させて急いだから、こちらに来るトラックに気付かなかった。
最期に見た信号機は、何色にも光っていなかった。
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