第11話 最高の友

 俺には、親友といっても過言でないほどの友達がいる。竜也たつやだ。小学校で竜也と知り合った時から、こいつには何度も世話になっている。いじめられていた俺を庇ってくれたり、期末テストでいい点が取れなかったら、笑いながら慰めてくれたり、難関校に指定した高校受験に不安になると、根拠がないのに自身満々に大丈夫と言ってくれたり、俺に初めての彼女が出来ると、我が身の事のように喜んでくれたり、そして、今でもそれを痛感している。

「うしっ、終わり! 後は土とか落葉被せれば、バレないだろ……」

 目の前の竜也が言う。俺が痴情の縺れで彼女を殺したのに、竜也は何も問わず、死体の隠蔽に協力してくれた。「よし、コンビニ行くか!」竜也は一仕事終えた作業員のように、晴れやかな声で誘ってくれた。竜也、お前は最高の友達だよ。

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