第19話 満月は夢のように輝く
こんな夢を見たい。
誰もいない砂漠に佇んでいた。私は、地平線の遥か遠くから現れた満月を眺めていた。満月は藍色の夜空と無数の星々を従え、満月自身は緋色の夕暮れを映す鏡と化していた。
私の背後は、暮れなずみゆく夕刻だった。今日の役目を終えた太陽は、青空をその火炎で焦がしながら、空の果てに沈みゆくのだ。
私は再び夜空に向き直った。紺碧の深さは一層増し、星々は輪郭をはっきりとさせていた。不図、砂漠に一迅の涼風が吹き抜けた。砂漠に散りばめられた石英の欠片たちが風と共に舞い上がり、暗闇の新たな星と生まれかわった。
月に目を移すと、純白の砂漠の色を映していた。世界に、今日も夜が訪れた。
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