第30話 十行で主張は伝わるのか

 「結局さ、小説を書くには行数が必要なんだよ。詩とか川柳なら、十行あれば十分伝わるかも知れないけれど、小説は訳が違う。どんなに作りこまれた背景も、魅力的な登場人物も、深い主張も、行数が短かったら、何にも伝わらない。それは、起承転結の起にすらなっていないんだ。本当に当たり前なんだけど、小説はちゃんとした行数を設けて書くべきなんだよ。十行じゃ何にも伝えられないんだ。お前はどう思うよ? 十行じゃ何にも伝わらないと思わない?」

 「……十行の制約に嘆いているところだけど」

 「何?」

 「君の主張は、十行で十分伝わったと思うよ?」

                                     

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