肉まんと呼ばれた女 / ボンジョルノ岩瀬 著
@akaneiwa
第1話 南房総のデンジャラス女
「やっぱり千倉の魚はうまいな〜」
平成も終わりに向かいつつある春の日。
城ヶ崎愛菜(じょうがさき あいな)は自慢のスーパーカブに乗って房総半島を巡っていた。道中、海鮮丼の店を見つけ人気メニューの「山盛り満腹丼」を頬張っているところだ。店主のおばあちゃんの笑顔が優しい。
「オッサムにも口があればいいのにね」
少しつまらなそうな顔をして愛菜は呟いた。
オッサムとは彼女のスーパーカブの名前だ。彼女が大学生の時から乗っており、もう6年も一緒に旅をしている。
元々は近所のゴミ捨て場に落ちていたオッサムを愛菜が拾ったのだった。スーパーカブはゴミ回収の対象ではないため、かなりの間放置されていた。それを見かねた愛菜が拾って修理したわけである。
「そろそろ行こうか、オッサム」
腹ごしらえを終えた愛菜はオッサムに声をかけてからエンジンをかけた。
「「「ドゥルルンブシャー!!ドゥルルンドゥルルンブシャー!!!!!」」」
強烈な音を発し、愛菜はオッサムと共に農道に消えていった。野良犬の踏み潰された柔らかいウンコを残してーーー。
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