コズミックフロント(はやぶさ)

 TV番組のことである。

 話の序盤から、はやぶさという宇宙探査機が、大気圏で燃え尽きる映像が流れる。

 青白く、炎を散らして、最後は三つの黄金色の、きらめきをほとばしらせて終わる。

 残されたのは、サンプルケースの入ったカプセル。

 このカプセルを届けるために、はやぶさは宇宙から地球へ戻ってきた。

 そんなシーンから始まったこの番組は、昼間のんきに遅い昼食を食べていたわたくしにヒットした。


 ニュースでちらっと見聞きしてはいたけれど、その実態など知りもしない。

 そんな、宇宙探査機をめぐる人々の軌跡が、描かれていた。


 はやぶさは、2007年に帰還する予定だった。

 しかし、イトカワ着陸の失敗により、一部が破損して一時は通信がとぎれた。

 あきらめなかったチームは、えらい。

 一年間、はやぶさに通信を送り続けて、ようやく回復したのだ。

 そのとき、エンジンが四つのうち三つ、寿命を迎え、機体のバランスを調節するネジが三つのうち二つ、破損していた。

 それでどうやって、カプセルを回収できたのかというと、辛抱強いスタッフの尽力による。

 もう、はやぶさをただの機械だとは思えなくなってきた。


 そこへまた、れいの、はやぶさが燃え尽きるシーンが挿入される。

 ……はやぶさが、人類の英知に救いを与えようと羽ばたく、傷ついた天使に見えた。

 絵本にしてやろうかいな、と思うほどにうつくしく、壮烈な最期だった。


 はやぶさが帰ってくるまでの時代の変遷に伴い、顕微鏡の分析機器が進歩していた。

 サンプルケースに微量に残る、イトカワの破片をヘラで拭いとり、そのまま分析器にかけたそうだ。

 結果、イトカワは太陽系が始まって以来、7千6百万年後に形成されたと判明。

 放射性物質の減量からわかるそう。

 それを分析した結果らしい。

 タイムカプセルか。

 ロマンだ。

 詩でも書きたい。

 

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