免疫がないので

 ちょっとした試練である。

 とあるWEB小説作品を拝読していて、なんとなく気に入っていたキャラクターが、死んでしまった。

 なんで!? って釈然としなかったが、そこに至るまでの伏線が回収されたにすぎない、そんな感覚もある。死亡フラグというやつだが、わたくしはそういうのに詳しくない。

 だから、キャラクターが死んでしまったことが悔しいし、つらい。

 苦しいよお。

 作者めー! ちっくしょー! とか、思わないわけではない。

 受け入れねばならない、ということがわかっているだけに、自分の無力を痛感する。

 わたくしが作者だったら、こんな魅力的なキャラを死なせたりはしない。

 しかも彼は英雄的に活躍して死ぬのだ。

 そんなのって、ない。

 実際わたくしは甘いのだろう。

 一番最初に着手したファンタジーでは、殺す予定だったキャラがあまりにも育ってしまい、殺せなかった。

 死んでほしくないと、願ってしまった。

 その後のキャラの人生を応援したいと思っていた。

 だから、劇中劇をつくり、フィクションでは死ぬけれど、実際は生きて自由に世界中を旅している、ということにした。

 育ってしまった、と言ったけれど、実際にメインキャストだったのだから、早々と退場させるわけにいかなかったのだ。

 わたくしには勇気がない。

 それ以上に、免疫がない。


 酔っぱらっていいかい?

 忘れたい。

 忘れたいんだ、あの世界のことは。

 もう一度触れねばならないとしたら、ふっきれたときでないといけない。

 そうでないと、あっちゃこっちゃ思考がブレてしまいそうだ。

 余計なことまで考えてしまう。


 書き手としてヨムのはつらい。

 おのれの未熟を思い知らされる。

 わたくしには、作品中のラスボスですら、殺せないのだ。

 せいぜい、敵が敗走したところで出番が終わる。

 その敵が未だ存在するということが、主人公たちへのプレッシャーになるのだが……決着を引き延ばしてしまう。

 嫌だけど、心ひき裂かれながらもキャラを殺す準備を整えて、いざ執筆したら、起死回生、彼は生きていた! とかいうことになるのだ。

 こういうの、どうしたらいいんだろう。

 解決法、求む。

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