九条家の6兄弟

らいおん

第1話 九条真白と5人の弟たち

4月上旬、春の暖かい朝日が部屋に入る。窓からの桜と、早起きして焼いたパンの香りが部屋を包み込む。6人分の飲み物と朝ご飯を食卓に並べる。


紹介が遅れました、僕は九条家の長男、真白ましろです。高卒で働き始めて社会人5年目になる22歳。

僕たちの家庭は普通とは違って少し裕福。だけど、母は7年前に他界、父は大手企業の九条グループの社長で、母の他界後は海外で仕事をしている。長男の僕は5人の弟たちの面倒を見るために大学には行かずに父の会社の手伝いをしている。ほとんどが家でできる仕事だ。


この辺で弟たちを紹介しよう


「兄さんおはよう。俺も一緒に起こしてくれたら手伝うのに」


この子は5歳下の次男、あおい。17歳、高校3年生だ。背は高くてスタイルは良い。勉強はできる奴で真面目。眼鏡もよく似合うイケメンだ。クールな奴だけど、僕の手伝いをしようとしてくれたり、気遣ってくれるお兄ちゃん思いのいい弟。勿論、弟たちにも優しく、時には厳しい。地毛が青いのを気にして黒に染めている。


「碧は受験生だろ?今は気にしなくていい。それより、ご飯食え」


少し不貞腐れたように碧が僕を見つめるから、いつもありがとう、と頭を撫でてやった。碧はこうされると弱いのを知っている。ツンの多いこいつは僕にだけ甘える、唯一の心の拠り所なのだ。でも、弟たちの前でやると、すごく怒る。そこがまた可愛い所だ。


「翠、柚黄、起きてるならさっさと降りてご飯食べなさい。遅刻するぞ」


二階の隣接する部屋に三男のみどり13歳と四男の柚黄ゆずき12歳がいる。私立の中学校に通う二年生と一年生。

この二人は手が掛かる。思春期と反抗期、やんちゃ盛り。


翠は所謂いわゆる悪ガキ真っ只中で、反抗期。兄弟で一番目立っている。勿論警察沙汰にはなったことないし、本当はすごく頭がよく成績もいい。双子の弟の面倒もよく見てくれる。本当はいい子なのを知っているから、とやかく言わないことにしている。但しツンデレである。髪色が何故か深緑色。


柚黄は兄弟で一番明るいが、成績は悪い。ヤンチャだけど全てのものに優しい憎めないバカである。兄弟のことが大好きで仕方がないらしく、夜遊びは絶対にせず、ご飯の時間までには必ず帰ってくるし、翠を悪い道に進ませないストッパーになっている。地毛が明るい茶色だが、金髪に染めている。翠とお揃いのピアスを付けている。


「だい兄ごめん、目覚まし止めちゃってさあ。翠も連れてきたよ」

「チッ...遅刻上等だっつーの」


柚黄は僕を“だい兄”と呼ぶ。一番上の大きい兄貴だからだそうだ。いつもはご飯ができる前には食卓にいる。そしていつも遅刻する時間まで寝ている翠を無理にでも連れてくる。拒否すればいいのに、それをしないのが翠の可愛い所。


「翠、食べたら学校行けよ?」

「わーってるよ、真白」


そろそろ双子の弟を起こさないと。

双子の弟は小学校四年生の9歳。僕たちの通った小学校は、9時登校という、少し遅めなのだ。そこに二人も通っている。


「赤璃、桃李。起きなさい」

「んー...真白ちゃん...」

「おはよー...」


この二人は兄弟一、いや、日本中の兄弟一仲良しだ。朝起こしに来るといつもハグしている。

保育所にいるとき、五男である赤璃あかりは大人しくて恥ずかしがり屋の人見知りなため、友達があまり上手く作れず軽く虐めを受けていた。

それを守っていてくれたのが末っ子の桃李とうり。桃李は柚黄譲りの明るい元気な子で、赤璃を守るために強くなろうとしている。赤璃は桃李にベッタリだ。


そしてこの二人は兄弟一の甘えたである。なぜなら、飛び起きた二人は僕に抱き着く。毎日だ。クソ可愛い。

起きて食卓に来ては食事中の弟たちにハグか頭を撫でるように求めてくる。可愛すぎる。


赤璃は地毛が赤茶色、桃李は僕に似た白交じりの赤髪だ。僕は生まれつき白っぽい銀髪をしていて、学生の頃は髪だけが目立っていた。


「いただきます」

「いただきまーす」


双子が朝食を食べ始める頃、次男の碧は家を出る。


「碧、これ弁当」

「ありがとう。行ってきます」

「あ、俺も行くから待って!みどくん行くよ!」

「ゆず、分かったから引っ張るな」


弁当は勿論僕の手作り。中学生組の弁当とは少し違うメニューだ。

碧が家を出ると柚黄も急ぐように家を出ようとする。そして翠を引っ張り出す。学校までは連れて行くが、正直翠がちゃんと授業に出てるとは思えない。そこまでは柚黄にもどうすることもできない。


「真白ちゃん!」

「はいはい、赤璃、どうした?」

「赤璃ちゃんがスープ零したー!」

「え、マジ?」


これが僕の家族。こんなハプニングもよく起こるうちの家族。

家族の紹介はこれで終わり。僕らの日常を、よければ覗き見ちゃってくださいね。

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