ぬいぐるみ
勝利だギューちゃん
第1話
女の子というものは、基本的にかわいいものが好きだ。
これも、一種の母性本能か・・・
「守ってあげたい」という気持ちのあらわれかもしれない。
ぬいぐるみが好きな子が多いのも、そのためだろう。
「母は強し」は、幼い頃から蓄積されるのかもしれない。
なかには、ぬいぐるみとかに興味のない女の子もいるが、
その子の個性なので、無理してふるまう事はないと思う。
で、女の子なら問題ないんですけどね・・・
男でもぬいぐるみを集めている人は、いるわけで・・・
「何この部屋、女の子みたい」
「悪かったな」
幼馴染の女の子に、悪態を疲れる。
「裕一、相変わらずぬいぐるみが好きだね」
「悪かったな、くるみ」
こう言い合えるのも、幼馴染ならではだろう。
「あっ、プロ野球のマスコットもあるね」
「ああ」
「何球団持ってるの?」
「全球団+α」
「12球団に+α?」
「うん」
くるみは、不思議そうに見てくる。
「αっていうのは?」
「今はない球団のもあるから」
「本当だ、バ○ィや、バッ○ァくん、ネッ○ーや、後、ファ○ティーも、あるね」
「うん」
「ブレ○ビーや、たか○ゃんは?」
「手に入らなかった」
「ホッ○ーも?」
「うん」
「そっか・・・」
なんなんだ?
そのがっかりした顔は・・・
「あれ?ジャ○ットもいるね。ファンだったっけ?」
「いや。でも、ここだけ買わないのも、気の毒かと・・・」
「気にしなくていいのに」
「実はこれには、ドラマがありまして・・・」
「うん」
まじまじと、くるみは見る。
「通販で買ったんですが・・・」
「うん」
「伝票にしっかりと、巨○マスコットぬいぐるみと書かれていて」
「うん」
「配達業者の方に、『僕も好きで持ってるんですよ』と言われ・・・」
「うん」
「少しの間、巨○についての、話をすることになった・・・」
くるみは、微笑んでいる。
そんなに変か?
「Jリーグはないの?」
「多すぎる」
ぬいぐるみ・・・
寂しさを紛らわさせてくれるもの・・・
魂は宿るのだ。
「ねえ」
「どうした?くるみ」
次の言葉を待つ。
「裕一は、変わらないね」
僕は、大声で答えた。
【うん】
ぬいぐるみ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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