豚。それがあたしだよ。転生だけど豚なのよ!

酔玉 火種

第1話 あたしは豚

 てってれー♪

 ――越後屋千代の私物最適活用スキルにより、脳が活性化されました。脳が活性化されたことにより、前世の記憶、人語認識、動物語認識、豚に真珠スキルが解放されます。


 「ブヒ!」

 あ!思い出したわ。あたしは、お酒の飲み過ぎで死んだオカマだわ。

 オカマの次が…豚って!豚って!!!神様!すんごく酷いんじゃないの?!そこは姫でもおつりがくるでしょ!


 「ぶーちゃん!あなたはぶーちゃん!」

 「おやおや、もう名前をつけたのかい。今年の千代へのプレゼントは成功だったな。」

 「うん!おっとー大好き!!」


 リボンを巻いた子豚を羽織袴はおりはかま姿の恰幅のいいおっさんから受け取り、ニコニコな少女…ぽっちゃり体型、顔がぱんぱんで目が細い、髪を頭の上で結っている金太郎風の少女。


 「ブヒー!」

 なんで!なんで豚なのよ!それも!こんなデブながきんちょへのプレゼントって何よ!!!


 「おやおや。もう千代になついているな。千代は動物に好かれる才能があるな。」

 「えへへ。」


 「ブヒー!」

 違うわよ!悲しんでるのよ!とっても!深く深く!!どこかのイケメンあたしを慰めてよ!


 廊下でひざまずいた丁稚でっちが声をかけてくる。


 「旦那様。お奉行様が来られました。」

 「わかった。今、行く。」


 千代の住む木造商家の畳の部屋で、悲しく泣くちいさなピンクの子豚と豚をお気に召して笑うぽっちゃりな少女の物語。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る