生まれ変わった私は魔法の世界で魔法が使えない

窯谷祥

プロローグ

プロローグ

 ・・・


 篠崎日向しのざきひなた、十九歳。

 大学一年生。


 そこそこ頭のいい高校に進学して今年県外の大学に進学して心躍る一人暮らしを始めたばかりの女子大生。

 バイトを始めたり自動車の免許も取ってある意味では大学デビューを果たしていた。


 そんな私はある日、自動車の運転でアクセルとブレーキを踏み間違えるという安易なミスで事故を起こして死んでしまったのです。


 そして目を冷ました私は……


「姫様!!元気な女の子の赤ちゃんでございます!!!」


 とある世界の貴族の女児として転生していました。


 ・・・


 う〜ん……流石の私もこれには動揺したかな。だって『ここは、どこ!?』って口に出そうとしても『オギャー』ってしか言えないんだもん。


「おやおや、元気な女の子ですね」


 と、生まれたばかりの私の体を抱き上げたのは多分侍女って呼ばれる人たちだと思う。

 それに『オギャー』って泣いている私を必死になだめてる……


 そして私は柔らかい肌触りの布に包まれてから生みの親の腕に抱かれた。

 私を抱いてくれた人は銀髪の髪がとても似合っている綺麗な人。


「あらあら……可愛い子ですね」


 そんな私の母親となった人に私は見惚れて声を出すのを忘れていた。


「姫様、泣き止みましたね」


 そう言って侍女の方は安堵の表情を浮べる。


 あ、いや……ごめんなさい。ただ見惚れてただけです。

 私は内心侍女の方に誤った。


 そしてその場も少し落ち着きを取り戻してきた頃に一人の男の人が扉を勢いよく開けて入ってきた。


「クロメシア王子!!」


 王子!?

 あ、でも私を抱いてるこの人も確か姫様って呼ばれてたよね。


「リリナ!!」

「あなた……女の子ですよ。それもすごく元気な」


 目の前で繰り広げられる甘い光景。

 私はクロメシア王子と呼ばれた男性の腕の中に収まる。

 顔たちは整っていてすごくカッコいい。けどそんな王子様の顔も涙ですぐに崩れた。


「ああ、元気な女の子だ……リリナお疲れ様。そしてありがとう」

「この子も立派な王位継承者よ。私たちがしっかり育ててあげましょう」

「そうだな…………リリナ」


 やっぱりか…………

 王位継承者ってワードを聞く限りここって王族の住んでる場所なんだよね。

 それによく見たら私が今いるこの部屋もすごく広いし壁の装飾何て豪華すぎるよ…………


 そして再び私はリリナ姫…………私の生みの親の腕の中に納まった。


「あなたの名前はリオンよ。リオン・リンドブルム」



 こうして私、篠崎日向は生前アクセルとブレーキを踏み間違えるというバカなミスで死に、この世界でリオン・リンドブルムという名前の姫として生活することになったのです。


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