理想の彼女と変人たち

蒼白ケイ

第1話「出会い」

桜が舞い散る4月の新学期。新たな気持ちで素晴らしき学園生活送ろうと想いながら通学路を歩く学生たち。この物語の主人公である崎町聖太(さきまち せいた)もその一人であった。

聖太「よーし、今年もいい学園生活を送るぞー!」

しかし、彼が新学期早々、3人の変人たちに出会い、絡まれることになるのであった。


~始業式後の教室~

?「あ、君!崎町君だよね?」

聖太「そうだよ。与野木君だったよね?」

晴人「そう!俺は与野木晴人(よのぎ はると)!よろしくねー。」

変人其の一、与野木晴人!

聖太「よろしく。で、どうしたの?」

晴人「ん?あーそうだった。単刀直入に言おう。崎町君、俺の…」

聖太「うん?」

晴人「…っ」

聖太「ん?」

晴人「俺の…、エロ談義の友になってくれ!」

聖太「…は?」

そう、彼はド級の変態だったのだ!彼の脳内はエロいことしかなく、おまけに他人の言葉を全て下ネタに変換出来るほどの変態ぶりであった!

晴人「ねっ!いいでしょ!?」

聖太「えー…」

まさか新学期最初のクラスメイトとの会話がこれだとは思いもしなかった崎町聖太であった。

晴人「頼む!少しでも他の人の知識を教えてもらって、今後俺に、そういうことをしてもいい女性が現れたときのために、相手がどんな性癖でも対応出来るようにしたいんだ!」

聖太「ゴメン、ムリ。」

晴人「そんな!なんで!?」

聖太「だって、ほら。」

晴人「え?」

女子A「うわー、そういう人だったんだ。」

女子B「マジでひくわ」

晴人「ぬァ!」

誘った結果、男子にとっての大ダメージをくらうのであった。


?「はぁ、コイツやっぱバカね。なんで堂々と言うかね。しかも、ヘンな友だちにさせようとしてるし。あなた、今後もコイツには気を付けるのよ。」

聖太「あ、うん。忠告どうも。えっと…。」

美桜「ん、小埜美桜(おの みお)よ。よろしくね。」

変人其の二、小埜美桜!

聖太「うん、よろしく。」

美桜「コイツ、中学のときからコレなんだけど、何も反省していないみたいね…。」

聖太「小埜さん…?」

美桜「フフッ、フフフフッ…。」

聖太(あ、この人もヤバい人だ。だって…

、ムチなんか持ってるんだもん!)

そう、彼女はド級のSタイプの人間なのだ!常日頃からムチを所持し、イラついたら与野木晴人をひっぱたく、それが彼女が中学時代からのストレス発散法なのであった!しかし、その行為に慣れてきた与野木晴人は…。

晴人「痛い!…でも、やっぱこういうのもイイっ!…もっと、もっとーっ!」

美桜「この変態めッ!」

晴人「アゥッ♥」

聖太(こういうの俺にとっては無縁だと思ってたけど、まさか目の前でクラスメイトがやってるなんて…。)

この時他のクラスメイトからはSMプレイをしている二人と、残念なことに、それを目の前で見ている崎町聖太も変人グループとして見られていたのであった。


~放課後~

聖太「はぁ…。」

聖太(まさか、俺も変な風に見られていたとはなぁ。まぁ、誤解は解けたからいいんだけどねぇ。)

女の子「離してください!」

聖太(ん?)

不良っぽい男「いいじゃねぇかぁ。ちょっとだけでいいから付き合ってくれよぉ?」

女の子「嫌だって言ってるじゃないですか!」

聖太(ちょっとこれはまずいな、止めないと。)

聖太「ねぇアンタ、その娘が嫌がってるじゃんか。離してあげろよ。」

不良っぽい男「…。」

聖太(あれ、すんなり離した。まぁ、それならそれで別に…。)

不良っぽい男「…じゃあ、お前が俺と付き合ってくれるのか!?」

聖太「…は?」

女の子「え?」

聖太(別によくなかったー!)

変人其の三、高谷文彦(たかや ふみひこ)!何でもかんでも全力でいく、後先考えないただのバカなのである!そして、友達はいないに等しい。しかし、そんな彼の恋愛対象はどちらでもいいというわけではない。

文彦「俺と一緒にメシを食ってくれるのかッ?!」

そう彼は食事を一緒にしてくれる人をただ探しているだけなのだ!理由は簡単!腹が減ったが、一人で食べるのが寂しいからだ!

文彦「頼む!一回だけでいいから、メシに付き合ってくれよぉッ!」

聖太「話はわかったけど…」

文彦「わかってくれたか…クゥッ!やっと…、やっと同年代のやつとメシが食えるゼッ!」

聖太(え、何か話が勝手に先に進んでるんだけど?!)

文彦「じゃあ、行こうぜーッ!」

聖太「え、ちょ、待ってってばァーーー!?」

女の子「…あの人、大丈夫かな?お礼言いそびれちゃったなぁ。今度会ったときに言わなきゃ。」

こうして崎町聖太の2年生新学期初日は高谷文彦によって、2時間ファミレスに拘束されて終わったのだった。

文彦「じゃんじゃん食ってけ!」

聖太(もう食えないって~…。)


~数日後~

聖太「あぁー…。」

男子A「どうしたんだ?」

聖太「…今週は変なやつに絡まれまくって疲れてるー。」

あの日以来、崎町聖太の目の前では与野木晴人と小埜美桜のSM劇場が繰り広げられ、放課後になると2日に1回の確率で、高谷文彦がメシ友になってくれる人を探しているときに遭遇し飲食店へ連行される始末となっていたのであった。

男子A「変なやつねぇ。まぁ、心当たりはあるけど。」

晴人「この学園にそんな変なやついるか?」

聖太・男子A(お前だよ!)

美桜「あたしも知らないわね。」

聖太・男子A (あなたもですよ!)

変人は己が変人であるとことを自覚していないのである。

男子A 「あ、それより聞いたか?!隣のクラスにめっちゃ美人な娘が転入してきたって!」

聖太「へー。」

晴人「可愛い娘!」

美桜「アンタには絶対会わせないわよ!」

男子B「あぁ、知ってる。というか、俺見た。」

男子A「マジかよ!どうだった?」

男子B「噂以上の美人だった!」

男子A「そこまでか!俺も見てー!」

女子A 「転入してきた娘、なんかお嬢様らしいよ?」

女子B 「美人でお嬢様ってもう完璧じゃん。」

聖太「へぇ、そんな人本当にいるもんなんだなー。」

男子B「あ、あの娘だよ!」

聖太「ん?」

皆の視線の先には、容姿端麗なお嬢様、宮原愛花(みやはら あいか)がそこにいた。そして、その姿に崎町聖太は…。

聖太(ま、どうせお近づきにはなれないだろうなぁ。)

と、心の中でつぶやくだけであったが、彼女もまた崎町聖太同様、変人たちに巻き込まれていくのであった…。





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