ドリームガーデン
三樹 サトリ
第1話 幼馴染と桜の木と野菜
「くっしゅん!!」
「八ルカのくしゃみを聞くと春が来たことを感じるな」
私したくしゃみを聞いて隣で意地悪に笑うのはタケル。私の幼馴染だ。今日も二人で登校中。別に仲がいいわけじゃない。たまたま、家が隣同士で家を出る時間もだいたい一緒。ましてや目的地が同じなのだから自然と二人で登校するのが当たり前になっていた。
「もう、花粉症の苦しみ知らないくせに笑わないでよ。」
毎年この季節になると私は花粉症に悩まされていた。一応マスクはしているがあまり効果はない…私も十四歳。お年頃の女の子だ。子供の頃からかよく知っているタケルしかいない今はともかく教室で盛大にくしゃみをしたり鼻をかむのはすごく恥ずかしいのだ。
「まあ、俺は花粉症とは無縁に生きてきたからな。そうだ昨日駅前の本屋行った時にティッシュたくさんもらったんだ。いるか?」
そういってタケルは鞄からいくつかのポケットティッシュを出して私の前に出す。
「いらないわよ。ティッシュくらい私だって…あ…」
鞄から出したティッシュすでにほとんど使われ残り数枚になっていた。
「ほら、遠慮するなって」
私の前にポケットティッシュを出すタケル。さすがにこの枚数では今日一日どころか午前中に使い切ってしまう。私はしぶしぶタケルからティッシュを受け取った。
「…ありがとう…」
「どういたしまして」
そういってニッコリ笑うタケル。渡されたティッシュを見てみるとそこにはパチンコや居酒屋、スポーツジムなど一つ一つに小さなチラシが入ってる。スポーツジムはともかくほかは中学生に渡しちゃいけないような気もするけど…まあ、配る人たちもおそらく渡す相手をそんなに気にしていないのだろうと一人納得。
「へっくし!」
再び盛大にくしゃみをしてしまった。それを見てタケルはおかしそうに笑っていた。
「…最悪…ほんとに春なんて大ッキライ」
タケルに笑われる悔しさに思わずつぶやいた。
「おいおい、せっかく春風(ハルカ)なんていい名前なのに春がキライなんてもったいないぜ」
そう、私は春風と書いてハルカ…何という皮肉…その名前の春風が運んでくる花粉によって私は毎年苦しめられている。これ以上の皮肉がほかにあるだろうか…
「それ言わないで…私はこの名前も含めて春がキライなんだから」
頬を膨らませタケルの前を歩く。マスク越しではタケルは気づいていないと思うが…
「俺は好きだけどな春。満開の桜が見れるからな」
通り道の公園にある一本の大きな桜の木を指差してタケルが言った。桜の木はすでに満開で花びらを舞わせていた。
「桜ね…確かに綺麗な花とは思うけど…」
私は別にそこまで桜が好きではない。綺麗なのは一瞬で強い風が吹けば簡単に散ってすぐに緑の葉が目立つようになる。どちらかといえば私は夏の暑さの下でも力強く咲くヒマワリのほうがずっと好きだ。どのくらい好きかと言われれば子供の頃から今までずっと二つのヒマワリがデザインされた髪留めを使っているくらいだ。
「桜はいいぜ。この花の前ではみんな笑顔になるからな」
「酔っ払ったおじさん達がワーワー騒いでるイメージしかないけど…」
あの公園でも桜の木下でみんな大騒ぎしている。
「そりゃ、あの桜見ながら食べる飯はうまいからな。酒のほうはまだ分からないけど」
桜の木下でお弁当。そういえば昔はよくタケルの家族とうちの家族であの公園でお花見をした。あの頃はまだ花粉症も酷くなくて楽しかった思い出がある。
「また、やりたいな。ハルカの家族とうちの家族で花見…」
タケルも同じことを思い出していたようで懐かしそうにつぶやいた。
「別に、いつでもできるじゃん。家が隣同士なんだからさ。」
そう、今年は無理でも来年でも再来年でもできる。桜は毎年咲くのだから
「ああ…そうだな…」
少し歯切れが悪そうに言うタケルが少し気になったが
「今年はまず、受験をクリアしないとな」
二カッと笑うタケル。そういうことか…思い出さないようにしてたのに…私たちは中学三年生…そう、世間で言う受験生という奴だ。
学校につくとタケルと別れ私は自分の教室に入る。タケルとはクラスが違う…と言うよりデキが違う…私も決して頭は悪いほうではないがタケルにいたっては学年で上位成績者しか入れない特別進学クラスにいる。私は一般のクラスだ
私は教室に入ると自分の席に座った
「ハルカおはよう。今日も夫婦仲良くご登校とは朝から見せ付けてくれるね」
朝から元気よく私に声をかけてきたのは同じクラスのミズキだ。
「夫婦って…いつも言ってるでしょ。アイツとは家が隣だから仕方なく一緒に来てるだけだって…」
「まあ、否定するならいいけど。知らないよ~タケル君すごくモテるからな~ハルカがモタモタしてたら誰かに取られちゃうよ~その時泣いても知らないぞー」
ニタニタと笑いながら私に話すミズキ。最近猛アタックの効果もあり同じクラスの安東 幸樹(あんどう こうき)君と交際を始めたミズキ。
「自分が彼氏出来たからって…私にまで彼氏作らせようとしないでよ」
「だって、ハルカがタケル君と付き合えば私とコーキでダブルデートできるじゃん。そうしたら絶対楽しいと思うし」
それが理由か…
「あのね…ミズキ。私たちは仮にも受験生だよ。」
「えーー!でも、息抜きだって大切じゃん。根詰め過ぎるともたないよ」
「そんなに油断してると志望校落としても知らないよ」
そう、受験生に盆も正月もない…彼氏とうつつをぬかすなんて論外だ。
「大丈夫。だって、私は二年の頃はクラスで連続トップだよ」
ぐはっ!!すっかり忘れていた…ミズキはこんな性格だから忘れられがちだけど頭が相当いいのだ。実は特別進学クラスに入れるくらいなのだが本人が「かったるいからパスした」
とケラケラ笑いながら言っていた。もう一度言おう私は決して頭が悪いわけではない…私を取り巻く友人たちが化け物なのだ。私だってクラスでそれなりの成績は取っている。
「だからさ。早くハルカもタケル君と付き合ってよ。大丈夫だよ成績が落ちたら私とコーキでサポートするからさ。」
そういえばこの二人はクラスで一位、二位の秀才カップルだった。私は頭が悪いわけでもないのに何故こんなにも敗北感を感じなければならない…そう考えるとだんだん腹が立ってきた。
「あーーー!もう!ただでさえ、花粉症でイラついてるのにこれ以上私を荒ぶらせるなーーー!」
「ほわあああああ!ハルカが怒った!」
ついに堪忍袋の緒が切れた私はミズキにチョークスリーパーを極めた。苦しそうに私の手首を手のひらでパンパン叩く。ギブという意味だろうが荒ぶる私はそう簡単には許さない。
キーンコーン
朝の予鈴が鳴る。私は諦めてゆっくりとミズキを開放する。ミズキは助かった…といった顔で自分の席に戻った。予鈴に感謝しなミズキ
春休みも開けて数日がたち私達は今受験に向けての準備が始まる。最初は放課後に担任との進路面談だ。休み明け初日に書いた進路希望をもとに担任と進路担当の先生と面談がある。今日は私の番だ。私の志望校なら今の成績を維持していれば充分合格ラインと聞き胸を撫で下ろす。担任からはもう少し上の高校を目指して見てはどうかといくつか学校のパンフレットを渡されたが私に志望校以外の選択肢はない。身の丈に合わないことをすれば痛い目を見る。それくらいは分かっている
「私立の女子高。うわー…見るからにお嬢様高校って感じ。」
面接を終えたあと、目を通して置くように言われた高校のパンフレットを見ているが正直どれもそこまで魅力を感じない。まあ、仮に興味を持ったところで私にこの高校にはいるのは不可能に近い。
「さて、パンフレットも目を通したし帰りますか」
パンフレットを鞄にしまうと教室を後にする。私が最後の面談だったので他の生徒は誰も残っていない。私は人気のない静かな校内をでようとすると
「ハルカ」
聞き覚えのある声に振り返ると…そのはずだそこにはタケルがいた。
「タケルも今帰り?」
「ああ、今日は進路面談の日でね。それが結構長引いちゃって」
「なに、志望校合格が危ういとか」
朝の仕返しに私がいたずらっぽくそういうと
「うん…まあ、そんなところかな…」
嘘付け…学年でも五本の指に入る成績のタケルにそんなことがあるわけない。おそらく私と同じ(と言うには少しおこがましいかもしれないが)もう少し上を目指したらどうかと進められたのだろう。うちの高校は最近になって数多くの名門高校合格者を数多く送り出すようになった。この勢いに乗るために見込みのある生徒は名門校の受験を進められるのは珍しい話しではない。
「そう、それは残念だったわね。」
ここで深く追求しても仕方ないし。別にコイツの進路に興味はない私はタケルの嘘にあえて乗ることでこの話しを打ち切った。
「それより、タケルも帰るとこなんでしょ。いつまでそこにたってるの?」
手には鞄を持ちすでに足元にはタケルの靴がある。私に声をかけたのも一緒に帰ろうと誘うつもりだったのだろう。まあ、いつものことだ
「ああ、ごめん…」
タケルは上履きを下駄箱に入れると手早く靴を履いた。
「帰ろうか」
私にそう言ったタケルに私はうなずきいつもの帰り道をいつものようにくだらない雑談をしながら帰った。帰りがけ近くの公園にさっき先生にもらった高校のパンフレットをこっそり捨てた。
「ただいま」
返事はない。当然だ誰もいないのだから。キッチンのテーブルを見ると千円札一枚と置手紙があった。
「今日は夜勤です。病院から急に呼び出しがあり夜ご飯を作れませんでした。ごめんなさい」
お母さんからだ。お母さんは看護師として毎日忙しく働いている。うちは母子家庭というやつだ。父は私が小学校に入ったばかりの頃他に女性を作って出て行ったが。私が中学に入ったばかりの頃ボロボロになって帰ってきた。どうやら手ひどくフラれたらしい。父は泣きながら私達に謝ったが私も母も許す気はなかった。これが初めてじゃないからだ。母は必死に謝る父に罵声を浴びせ。私も顔も見たくないと叫んだ。背中を丸め悲しそうに去っていく父は酷く弱弱しく見えた。
「大丈夫。あの人のことだからすぐに次の相手を見つけるわ。私達はこれからおばあちゃんと三人でしっかり生きていくことを考えましょう」
それからもお母さんとお婆ちゃんと私の生活はささやかで平凡だけど楽しい毎日が続いた。おばあちゃんは忙しいお母さんに代わりご飯を作ってくれたり話し相手になってくれたりしてくれたが去年突然この世を去っていった。それからはお婆ちゃんの残してくれたこの小さな家でお母さんと二人暮らしだ。
「別にそんなこと気にしなくていいのに。」
申し訳なさそうに書かれた置手紙を読んでわたしはつぶやいた。忙しいのは分かってるし私もそれほど子供ではない。夕飯くらい一人でどうにかできる。それでもお金を置いていったのはお母さんなりのお詫びの気持ちもあるんだろう。私は千円札を持つと夕食を食べるために再び家を出るとちょうど隣の家から出てきたタケルと目が合った。
「あれ、出かけるのかハルカ」
「うん、お母さんが今日夜勤でね。晩御飯食べに行こうと思って。」
「ならうちで食べていったら。今日はすき焼きだぜ。うまいぞ家のすき焼きは」
突然の提案に少し戸惑う。確かにタケルとは幼馴染だげど最後にタケルの家に行ったのはいつ以来だろう。少なくとも小学校高学年になる頃にはもう行ってなかった気がする。
「まあ、無理にとは言わないけど」
タケルはそう言うがすき焼きというメニューが私を誘惑する。おばあちゃんが死んで以来お母さんと二人では鍋物は量が多すぎてまったく食べきれない。自然とメニューから外されるようになった。
「う~ん…」
ひたすら悩んだ。これ以上ないくらい悩んだその結果出した私の答えは
「おばさん…すいません突然」
タケルの家でテーブルについていた。タケルのお母さんが台所で忙しそうにすき焼きを作っていた。
「いいのよ。それにしても本当に久ぶりねハルカちゃん。」
「昔はよくうちに来て遊んでたのにな。最近じゃ顔を見せてくれなくなったからおじさん寂しかったぞ」
私のすぐ前に座るタケルのお父さんが少し嬉しそうに言った。
「ちょっと、お父さん。なんか言い方がいやらしいわよ。」
「バカ!変な意味じゃない。俺にとっては小さい頃から知ってるハルカちゃんは娘みたいなものというか…分かるだろ!うちには息子しかいないんだから」
「そりゃ、私だってハルカちゃんみたいな娘がいたらって思うけどお父さんは本当にそれだけかね…」
おばさんの言葉に必死で答えるおじさんを見ていると少し懐かしかった。小さい頃と全然変わってない。タケルのお父さんを見てこんなお父さんだったらと何度思ったことか。
「何だよ…息子じゃ不満なのかよ」
不満げにタケルが両親に言うと
「そりゃな…息子より娘のほうがいいだろう。何と言っても華があるからな。」
「お父さん。タケルだってうちの自慢の息子ですよ。さあ、出来た。」
そう言うとおばさんはグツグツと煮えたいい匂いのする大きな鍋をカセットコンロに置いた。
「わあ、美味しそうすき焼きなんて本当に久ぶり」
おばさんは「たくさん食べてね」と言って炊きたてのご飯を私に渡してくれた。
久々のにぎやかな食卓。仕事が早い日や休みの日はお母さんと食べるけど二人だけではこんなに楽しく会話は弾まない。一家団欒ってこういうことを言うのかもしれない。
「ほら、タケル…野菜ばかり食べてないで少しは肉も食べて奮発していい肉買ってきたんだから」
「俺は野菜のほうが好きなんだよ…」
「相変わらずタケルはベジタリアンなんだね」
小さい頃から野菜大好きなタケル。肉よりお菓子よりも野菜を喜んで食べていた。
「そうなのよ…困った子でしょ。最近ますます野菜にはまっちゃって庭で野菜作り始めちゃったのよ。このサラダに入ってるピーマンとミニトマトこの子が庭で作ったものなの」
「俺の最高傑作だ。ちょっとうまいぜ。これ」
自信満々に胸を張るタケル。私はミニトマトとピーマンを取る。ミニトマトは綺麗に真っ赤に染まりピーマンも綺麗な濃い緑色だ。少し季節はずれなのによくこれほどのものが出来たと少し関心する。私は何も着けずに食べて見ると
「本当だ。美味しい」
さわやかな酸っぱさのトマト。シャッキリとした歯ごたえに程よい苦味のピーマン。私も野菜は嫌いなほうではないが。そこまで好きなほうでもない。女子としてはどうかとも思うがどちらかと言えば肉のほうが好きだ。でも、これだけ美味しい野菜ならば毎日でも食べたいくらいだ。
「なあ、うまいだろう。」
嬉しそうに私に話すタケル。
「二人とも…お肉固くなる前に食べてね…」
おばさんの言葉に私はお肉に箸を伸ばした。美味しいお肉に野菜は賑やかな食卓がさらに華やかになった。
「ごちそうさまでした」
「ハルカちゃん。今日はお母さん帰ってこないんでしょ。よかったら泊まっていきなさいよ。女の子一人で家にいるのは最近物騒だからね。」
からになった食器と鍋を片付けながらおばさんが言った
「えっ…でも、そこまでご迷惑かけるわけには…」
小さい頃はときどきタケルの家に泊まることはよくあったから特に抵抗はない。でも、突然お邪魔して夕食をご馳走になったうえにそこまで甘えてしまうのは気が引けた。
「いいのよ。いつも男しかいないから私も窮屈してたところだし。明日はお休みでしょ」
お母さんの夜勤は毎週一回くらいあるからある程度は慣れているが心細くないと言えば嘘になる。正直安心できる人がそばにいるのはありがたかった。あっ…勘違いしないでね。安心できる人って別にタケルじゃないから。小さい頃から可愛がってくれるおじさんとおばさんだよ。タケルはおまけみたいなもの。私は少し迷ったがお言葉に甘えさせてもらうことにした。
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
私がそう言うとおばさんは嬉しそうに笑った。
「それじゃあ、お風呂は沸いてるから好きな時に入ってね。着替えはタケルお前のスウェット貸してあげな」
「ほいよ。」
タケルはそう言って立ち上がると部屋から上下グレーのスウェットを持ってきて渡してくれた。
「ありがとう…」
「それじゃあ、俺は野菜の世話してきたら入るよ」
タケルはそう言うとじょうろと小さなブラシを持って庭のほうへといった
私は先にお風呂に入らせてもらうことにした。そういえばよその家のお風呂に入るのはいつ以来だろう。なんだか、少し不思議な感じだ。お風呂から上がりおばさんとお話をした後今日の寝床タケルの部屋に入った。タケルはまだお風呂に入っている。タケルの部屋は以前と違いおもちゃやゲームはなく変わりにたくさんの本があった。たくさんの参考書や難しそうな本がびっしり
「さすがは秀才だね…あれ」
参考書の横に数冊並べられていた園芸や野菜作りについて書かれた本。
「アイツ本格的にはまってるんだな…そういえば昔から凝り性だったけ」
そこから一冊だしてパラパラめくって見るといたるところに付箋やアンダーラインが引かれていた。これじゃあまるで参考書だ。
「その本分かりやすくていいぜ。俺はだいたい覚えたから興味があるなら貸そうか?」
「ひゃ!ちょっと入ってくるならノックぐらいしてよ。」
いつの間にか部屋に入ってきていたタケル。そ
「ここ…俺の部屋なんだけど…」
「それでもよ。女の子がいるのがわかってるならノックする。これ、社会の常識。頭いいんだからそれくらい知っときなさいよ」
「なんか理不尽…」
まったく。肝心なところが抜けてるんだから。
「ところでタケルの野菜好きは知ってたけどどうして自分で作ろうと思ったの?」
タケルはまだ濡れている髪を雑に拭きながら自分のベッドに座った
「きっかけはバイトかな」
「バイトって私達まだ中学生なんだよ」
さらっと言っているけど中学生の労働は学校の規則はもちろん法律でも禁止されている。
「バイトって言っても父さんの弟がやってる農園の手伝いをしただけだよ。額だってそんなにたくさんはもらってないからセーフだろう」
まあ、そう言うことなら労働ではなく手伝いというグレーゾーンですむだろう。同じ労働対価でもバイト代とお駄賃でその言葉の意味は大きく変わる。
「おじさんの所で去年の夏休みに農作業手伝ってたんだけどこれが楽しくてさ。いつの間にか夢中になってた。それが最初のきっかけだな。そのあとおじさんから俺が手伝った時に出来た野菜が届いたんだ。うまかったね。自分で土を耕して肥料をまいて苗を植えて出来た野菜だったからな。まあ、俺が帰ったあとの世話は叔父さんがしてたから俺が作ったとは言えないけど。ほら、去年の秋くらいにハルカの所に大量のナスおすそ分けしただろう。あれ俺が手伝って作ったナスだったんだ。」
「あー、あの時の…あれすごく美味しかったよ」
ダンボールいっぱいに入ったナスをお母さんがあれこれと料理してくれた。焼きナスに天ぷら肉炒めとどれも美味しかった記憶がある。
「野菜作りは手間もかかるけど出来た時の達成感と食べた時の感動は忘れられないよ。」
そう言うとタケルは立ち上がった
「さて、どうだ寝る前に少しゲームでもするか?」
「少しはうまくなったの。タケルはよく私に負けて大泣きしてたからね」
昔から穏やかそうでいて負けず嫌いだったタケルは自分が持っているゲームで私に負けるとワンワン泣いて悔しがっていた。
「まあ、負けても楽しめるくらいには心は成長したかな」
「ようするにうまくなってないのね…」
私達は子供の頃を懐かしみながら二人でゲームをした。タケルは相変わらず弱かったけど負けて泣くことはなかった。まあ、もう、中学生だし今でも大泣きするようではそれで問題だけど。一時間くらいゲームをしたあと眠そうな私に気付いたのか「そろそろ、寝るか」
とタケルに言われ眠りに着くことになった。タケルはベッドを私に譲ってくれた。床でタオルケット一枚で寝るタケル
「寒くない?」
一応は横で寝る幼馴染を心配する
「今日は暖かいからな。気にするな」
「なら、いいけど。」
床でタオルケットに包まりながらスマフォを操作するタケル。ゲームをやっているような様子でもないしメールという感じでもない。まさか、ブログ?いや、ないない。確かに凝り性なところはあるけどブログなんてオシャレな習慣があるタケルが想像できない。それにしても中三にもなってまたこうして同じ部屋で寝ることになるとは…妙な感じだ。まあ、タケルは典型的な草食系男子(食生活も性格も)よほどのことがないかぎり危険な目にあうことはないだろう。万が一何かあってもちょっと叫べばおじさんやおばさんがかけつけてくれるだろうし。そんなことを思いながらタケルのほうにめをやると。タケルはスマフォを持ったまますでに寝息を立てていた。おいおい、お前も思春期の男だろ…幼馴染とは言え横で女子が寝ているのに何故平気で寝ていられる…ドキドキするとか緊張して寝られないとかはないのか?私だって一応はこうしてほんのわずかだが気にはしているのに…これは草食系男子の能力なのか。少しイラつきながらタケルがいじっていたスマフォに目をやる。画面にはまだタケルが操作していた画面が映し出されていた
「ブログ…?というより日記?」
画面にはタケルが育てたであろう野菜の写真と食べた時の感想今後の改善点などが書かれていた。私はタケルの手からスマフォを取るとすぐ前に置き中途半端にかけられているタオルケットをタケルにしっかりとかけると自分もベッドに潜り眠りについた。
次の日
目を覚ますと見慣れない天井。そうだ、」タケルの家に泊まっていたということを思い出すとゆっくりと体を起こした。すぐ横にいたはずのタケルはすでにいなかった乱雑に畳まれたタオルケットだけが残されていた。時計を見ると七時少し前ずいぶん早起きだ。これじゃあ私が寝坊したみたいだ。私は掛け布団を丁寧に畳んで台所に向かった。おばさんはすでに起きていて朝食の支度をしていた
「あら、おはようハルカちゃんよく眠れた?」
「はい、ところでタケル君は?」
「ああ、あの子なら朝のジョギングさ。」
ジョギング?インドア派のタケルが?
「一年くらい前からはじめたあの子の日課でね。最初はお父さんといつまで続くかなんて話してたんだけど毎日よく続けているよ。お父さんと好きな女の子でも出来たんじゃないかと噂してたんだけどこの一年そんな兆しも見せなくてね」
タケルが好きな女の子のために毎日ジョギング?まったく持って想像できない…
「まあ、体を鍛えるのはいいことですから。」
野菜を中心とした食生活だけでも充分健康体なのだがそれでジョギングまで始めたら絵に描いたような優良健康男子だ。
「ただいま」
噂をすればジャージ姿のタケルがジョギングを終えて帰ってきた。
「あれ、ハルカ。もう起きてたのか?」
タケルは冷蔵庫から牛乳を取り出すとコップに注いだ。おいおいタケル君や…君はいつからそんなアスリートみたい生活を送るようになったんだ。
「ほら、もうすぐ朝ごはんできるから着替えてらっしゃい」
タケルは着替え終わりテーブルにつくとそこには焼きたての目玉焼きとウインナー千切りキャベツとトーストが置かれていた。タケルの皿だけ千切りキャベツが大盛り?というか特盛りだった
朝食を終えるとタケルは庭に出て鉢に植えてある野菜の世話を始めた。
「いつの間にかずいぶん健康第一主義になってたのね」
野菜の葉についた虫をブラシで落としているタケル
「ああ、ジョギングのことか?農作業には体力がいるからな。今のうちに体力作りしておこうと思ってな。最近じゃ筋トレもはじめたんだぜ」
そう言ってタケルはTシャツを巻く利上げてお腹を見せてきた。
「ちょっと!いきなり何見せてくるのよ。セクハラよセクハラ」
チラッと見えたタケルのお腹はシックスバックというにはまだほど遠いが確かにうっすらと腹筋の筋が見えていた。コラ!そこ、しっかり見てるじゃんとか思わない。1
「何だよ、ガキの頃よく一緒に風呂は入ったりしてたじゃないか…」
「バカ!いつの話ししてるのよ。それにあんた趣味で野菜作ってるんでしょ。わざわざそんなことまでしなくてよくない」
「まあ、確かにそうかもしれないけどさ。でも鍛えておいて損なことはないだろ」
確かにタケルが言うことにも一理あるが…私の心に小さな引っ掛かりを覚えた」
「よし、これで完璧。どんな作物が出来るのか楽しみだ」
ずべての鉢の世話を終えたタケルが庭にある水道で手を洗い縁側で座る私の隣に座った。
「このあとどうする?」
思い出したかのように尋ねてきたタケル
「え…えっと、私はそろそろ帰ろうかな。お母さんも夜勤を終えて帰ってくる頃だろうからお昼ご飯作っといてあげようと思って」
昨日は何かトラブルがあったのか早い時間から出勤しての夜勤だ。きっとお母さんも疲れて帰ってくるだろう。お昼くらいは作っておいて早めに帰ってお昼くらいは作ってあげようと思っていた。
「そうか、ならピーマン持って行くか。たくさん採れたからさ。昨日食べてうまいって言ってくれたろ。だからハルカのお母さんにも食べてもらいたいんだ。」
昨日食べたピーマンか…確かにあれは美味しかったしあれ食べたらお母さんも元気出るかもタケルもきっと自分の傑作をいろんな人に食べてもらいたいんだろう。私は五個の大きめのピーマンをもらって家に帰った。本当は十個くらい持たされそうになっていたけど親子二人でそんなに食べきれない。すぐ隣の家につき鍵を開けようとすると誰もいないはずの家の中から声が聞こえた。一瞬ドキリとしたが落ち着いて声を聞いて見るとお母さんの声だ。私はほっとして玄関のドアを開ける
「お母さん。早かったんだね。ちょっとタケルのところに行ってて…」
中にいるであろうお母さんにそう伝えようとすると
「いい加減にして!今さら何よ!二度と連絡してこないでって私言ったよね。」
小さな家に母の怒鳴り声が響く。あんな声を出すお母さんを私は見たことがない。
「とにかく、迷惑だから私もハルカも…あなたの顔なんて見たくもないのよ。あなたの助けなんかなくてもやっていけるわ。今までだってそうしてきたんですもの。もう、私達に関わらないで…」
それだけ言うとお母さんはスマフォから耳を離した。その時にようやく私の存在に気付いたようで一瞬驚いた顔をしたがすぐにいつもの穏やかな顔に戻った
「あら、ハルカお帰りなさい。お買い物に言っていたのかしら?」
透明のビニール袋に入ったピーマンを見てそう思ったのだろう。
「ううん…タケルの所に…昨日夕食ご馳走になって。一人じゃ心配だからよかったら泊まって行ってて言われて…その…」
そう言った時だった。お母さんの表情は変わった。無言で私にゆっくりと近づいてくる…まずい…普段穏やかで物静かななお母さんだが突然豹変してしまう時がある。私の頬に一雫の汗が流れる。思わず手に持ったピーマンを落としてしまった。私のそばまで来たお母さんはゆっくりと右手を上げた。そして…グワシ!
「ちょっと!お母さん苦しいよーー」
お母さんの腕が私の首を締め上げる
「何よー、いつからなの?ねえ、いつからなのよ?」
夜勤の疲れと先ほどの緊張感はどこへやら…まるで女子高生のようなテンションで私に詰め寄ってくる…しまった…警戒がうすかった私としたことが…
「ハルカたら。そうならそうと言いなさいよ。もう、知らなかったのお母さんだけ。それでどっちからなの?やっぱりシゲル君から?まさか、あんたからじゃないわよね。そんな性格じゃないもの」
「だから、お母さん…そうじゃなくて!」
「まあ、いずれはこうなるって分かってたけどまさかこの日がこんなに早く来るなんて。お母さんとしては嬉しいような寂しいような…」
一方的に聞いてくるくせにこちらの話しを全然聞こうとしない。こうなったお母さんのめんどくささは分かっていたはずなのに…不覚
「ねえ、今度お祝いしましょうよ。タケル君も呼んでさ。あっ…でも、駄目よハルカ。あなた達はまだ中学生なんだからお付き合いは健全に…」
「お母さん!!」
私は声を張り上げ叫んだ。
「キャ!なによ。急に大きな声出して…ビックリするじゃない」
「お母さんが話を聞かないからでしょ。私とタケルはそんな関係じゃないって。」
私は少し平静を取り戻したお母さんに昨日のことを説明する。
「なんだ、そう言うこと。お母さんすっかり早とちりしちゃった。でも、今度タケル君のお母さんにお礼言っておかないと。」
「まったく、それでこれタケルが作ったピーマンだって。最近アイツ野菜作りに凝っているらしくてさ」
「これはいい色のピーマンね。さすがタケル君ね。あんた本気でタケル君狙うつもりないの?頭はいいし野菜も作れるなんて超優良物件じゃない」
ビニールに入ったピーマンを確認しながら母が私に言った。
「ないない…アイツとはただの幼馴染。たぶん向こうも眼中にないんじゃない。」
「残念。タケル君ならお母さん万々歳なのにな…まあせっかくのピーマンだしこれは責任持って私が美味しく調理するわ」
ピーマンを持って台所に立つお母さん
「いいよ、お母さん夜勤明けで疲れてるでしょ。お昼くらい私が作るから」
「だーめ、あなたはこんなにいいピーマンを調理するなんて十年早いわ。ここは私に任せなさいな。」
そう言って冷蔵庫の中身を確認するお母さん。すっかりさっきの電話のことを聞けなくなってしまった。ある程度検討はつくからいいけど。電話の主それはお父さんだ。
「ピーマンの肉詰めでいいかしら?」
「うん、任せる。」
お母さんは冷蔵庫から材料を出して慣れた手つきで材料を切り始めた
「さっきの電話ねお父さんだったの…」
玉ねぎを刻みながらポツリとお母さんが言った。
「お父さんね…また私達と暮らしたいって言ってきたの。噂では会社でまた出世の話しが出ているらしいわ。」
お父さんはかなり大きな会社で重役だった。地位も名誉も何もかも持っているお父さん。また、大きな名誉を得ようとしているんだ。
「でもね…そのためには必要なのよ…何か大きな信頼の要が。かつて別れた私達ともう一度暮らすことで外面をよくして良い印象を持たせる。それがあの人の狙いでしょうね…お父さんは言っていたわ。進学を前にしているハルカのためにももう一度自分と暮らしたほうがいいって…自分に地位があればどんな高校にも入れるからって」
「バカにしないで!!」
体全体に怒りが駆け巡った。勝手に家を出といて今さら何なのよ…私はあんな男の力なんかなくたって志望校に入れる。あんな男…父親でもなんでもない。私にお父さんはいない。そう最初からいないのよ…
もはやお父さんと呼ぶのも嫌になった。
「私はお父さんなんていなくても平気…」
そう言うとお母さんは包丁を動かす手を止めた。
「そうね…あの人は夫としては最低だったと思う…私は絶対にあの人を許すことは一生できないと思う…でもね…父親としてはそれなりに及第点がある人…とも、思うの…あの人はあなたには人並みに愛情を持っていたと思う。でも、私はいつもあの人に憎しみをぶつけてしまう。それを見ていたからハルカもお父さんを憎んでしまう…だから、もし、お父さんを許せる時がきたら私に気にせずにお父さんを許してあげて…」
信じられない言葉だ…あの人を許す…そんなこと出来るわけがない…私とお母さんを捨てて他に女の人作って…いなくなった人なんか…許せるわけがないよ。
「私は絶対に許さない…あの人を…許せるわけないよ…」
涙がこぼれた。悔しさが体から溢れてきた。そんな私に気付いたのかお母さんは私を優しく抱きしめた。
「お父さんの話しはこれでお終いさあ、手伝って」
私は立ち上がり料理を手伝った。作ってあったピーマンの肉詰めはとても美味しかった。でも、私とお母さんは黙ったままだった。昨日とは違う静かなご飯だった。
次の日
私はいつもよりかなり早い時間に学校へ向かった。別にタケルを避けたわけじゃない。今日は週に一度の朝の図書室当番なのだ。始業式初日不覚にも図書委員を任命されてしまった私は毎週月曜日早い登校をして図書室を開け貸し出し返却の当番をしなければならなくなったのだ。
「それでは一週間後までに返却お願いします」
パソコンに貸し出し登録をすると本を渡し終えたあととふと時計を見るとそろそろ終わりの時間だ。私は立ち上がり図書室を一回り確認すると施錠して教室に戻った。
「ハルカ、お勤めご苦労」
ミズキが挨拶がわりに私に言ってくる。まったく人事と思って…
「さすがに一時間も早起きするのはしんどいわ。これが毎週続くと思うと…憂鬱」
「まあまま働き者にはいつかいいことあるって」
無責任なミズキの言葉も今の私には多少なりの癒し効果はある。机にうつぶせた体を起こした時だった。
「あれ?タケル君じゃん」
そういわれ振り向くとそこには私の教室を覗き込むタケルの姿がある。タケルは私と目が合うとこちらのほうに来た。
「ハルカおはよう。俺の家に泊まった時これ忘れていったろ。風呂場に置きっぱなしだったぞ。」
そう言って私お気に入りのヒマワリの髪留めを渡してきた。朝ないと思って探していたけどそうかタケルの家にあったのか。よかった…って…ちっともよくない!タケルの言葉に教室の中がざわめくクラス中の視線が私達に向く
「ちょ…なんで今届ける…?」
「いや、本当は登校の時に渡そうと思ったけど今日は登校別だったし。これ、ハルカのお気に入りだったから早めに届けてあげようと思ってさ。」
ありがとうタケル…気を使ってくれたんだね。いらない気遣いだけどね…
「それじゃあ確かに渡したぜ。それじゃあな」
そう言い残すと教室を去っていったタケル。
「すごーい、ハルカったらタケル君の家にお泊りするなんて私よりも進んでるじゃん。そうかそうか、」
「違うから!これには訳があってね。」
その時だったクラス中の生徒たちが私の前に集結し質問攻めにあった。それもそのはずだ私が特別進学クラスの生徒と仲がいいことを知っているのはミズキくらいだった。それなのにわざわざ特クラスのバッジをつけてこの私に何の躊躇も泣く親しげに話してくる。
私が飛んでくる無数の質問に困っていると
きーんこーん
クラスに予鈴が鳴り響く。まわりは残念そうに自分の席に戻る。今度は私が予鈴に救われた…
しかし、休み時間のたびに来る質問攻め私の長い一日はこうして始まった。
ようやく学校も終わりすぐにでも家に帰りたいところだが放課後も図書委員の仕事がある。まあ、さすがに図書室で質問攻めに会うことこそなかったが精神的な疲れはすでにピークだった。何とか図書委員の仕事も終えて下校するべく下駄箱へと行くとそこには私と同じく下校するてめに靴を履いているタケルがいた。タケルは私に気付くと挨拶のつもりなのか軽く手を上げた。私は朝のこともあり露骨に怒った顔で返事を返さなかった。
「何だよ…なんか怒っているのか?」
なんか怒っているのか…当たり前だろう。お前のせいで本来平和に終わるはずだった私の一日は地獄と化したんだ。分かっていないのかこの男は…
「これはこれは特別進学クラスのタケル様ではないですか。今日も居残りご苦労様です」
図書委員で二時間も長くいる私と同じ時間に下校しようとしているということはおそらくは居残りでもくらったんだろう。私は軽い嫌味をこめてタケルに言った。
「なに怒ってるんだよ…俺なんかしたか…」
「べ・つ・に・」
不機嫌を態度で表現する私。
「なんだ怒ってるんじゃないのか。そうか、わかった図書委員の仕事で疲れたんだろう。意外と神経使いそうな仕事だもんな。まあ、大丈夫すぐに慣れるって」
この地上最悪の鈍感男をどうしてくれようか…そればかりが頭の中を駆け巡る。
「えー、とっても疲れてますの。それでタケル様はいったい何をしでかして居残りをくらったんですか?」
再び嫌味攻撃
「なんか言い方にトゲあるな。別に何もしでかしてないよ。今日も進路面談だよ…」
ん…?おかしいタケルはこの前も進路面談を受けていたはず二回も進路面談をするなんてことがあるのだろうか?まあ、特別進学クラスなら進路にそこまで力を入れてても不思議はない。
「そんなわけで俺もクタクタだよ。お互い今日はさっさと帰ろうぜ」
その後自然にというか当然にというか二人で一緒に帰ることになった。今日のタケルは本当に疲れていたのか珍しく口数が少なかった。ただ、最後に一言公園の大きな桜の木を見て「今年も終わりか…」と一言だけつぶやいていた。
桜が散るのがそんなに名残惜しいか…夕日に照らされていたせいもあるのかタケルの顔は少し寂しげに見えた。
次の日には昨日の騒ぎが嘘のように消えていつもの学校生活に戻っていた。
ドリームガーデン 三樹 サトリ @satori162
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