捨てる神あれば・・・

第1話

「捨てる神あれば、拾う神あり」

こういうことわざがある。

意味は、そのまんまだが、得てして当たっていない。

ことわざには、当たっている時もあれば、外れている時もある。

このことわざは、後者だろう。

「果報は寝て待て」「まかぬ種ははえぬ」という、

正反対の意味のことわざもあるが・・・

それは、置いておこう。

で、僕は自分でオリジナルのぬいぐるみを作り、

それを販売するという仕事をしているのだが、

これで食えるはずもなく、あくまで副業。

そのぬいぐるみを、親しい方には、くばっているのだが、

先日、ある著名な方に送ったら、送り返されて来た。

一応、知らせてといたのだが、まあ仕方ないだろう。

中身は見られていないわけだが・・・

その時思った。

「受け取らなかった事を、絶対に後悔させてやる」と・・・

それから、数週間後、

ある著名な方のイベントに参加した。

いろいろとお話できてたのしかったのだが、

断られるのを覚悟で、そのぬいぐるみを持っていく事にした。

全部は、逆効果なのでやめておいて、ひとつに絞った。

犬をモチーフにした、ぬいぐるみだが・・・

で、お渡し会の時間がきた。

僕は、断らるのを覚悟で、ぬいぐるみを差し出した。

「この子、いりませんよね？」と・・・

すると、「かわいい」と、喜んで受け取っていただいた。

そして、そのぬいぐるみのキャラについて、お話することができた。

今は、どうなのかわからないが、ウソでも受け取ってくれた事が嬉しかった。

拾う神は、いるのかもしれないな・・・