第2章 9話
「行け~!レン!」
無邪気な少女、カエデの合図で、日本刀を持った軍人が頭上のダクトから飛び降りてくる。敵の後ろをついてきたのだろう。私を含む4人は、突如として現れた″もうひとつの部隊″に動揺を隠せなかった。
「ふ、二人は何でここに」
「今はそんなことどうでもいいの!ロイ達はそいつらやっつけて!」
「わ、分かった!」
二人が現れたことで、相手の注意を引き、此方から攻勢に行くことが出来ているようだ。
目先では、17にも満たない少女が、身長より遥かに大きな装置を、淡々と操作している。鞄から歪な機械を取りだし、コードを繋げながら、沢山あるボタンを手際よくおしている。
「ゴホッ,ゴホッ,... いやー、隠し通路って埃っぽいね」
またしても頭上のダクトから、和服を来た青年がひらりと飛び降りた。
「ヤクモまで... ″金蓮花部隊″は、今他の戦線に行ってると聞いたけど、どうしてここに?」
「いやー、カエデがどうしても敵の身元と情報が欲しいらしくてですね... 来ちゃったんです」
「... はぁ」
「終わった!これで相手の情報を握ったよ!」
制服のスカーフをひらりと揺らしながらカエデはこちらを振り向いた。満面の笑みが可愛らしい。
「じゃあ、用も済んだし、もうそろそろでしょう」
「... と、いうと?」
「ここに来るまでの通路に、時限爆弾を置いておいたんです。ここまで来る時間を考えれば」
「「「「!!!」」」」
口より先に、足が出るという言葉でもあるものか
ヤクモの言葉を聞くや否や外に駆け出した私達を背に、寛大な爆発音が鳴り響く。背中からの爆風に押され、その場に倒れこみそうになるも、ロイに支えられ、私は司令塔の姿を目の当たりにした
どうやら、全員逃げ出したらしい。みな、司令塔だったものに目を向けていた。
ぱちぱちと弾ける赤い炎が、ごうごうと音をたて建物を崩していく。私が持ってきた簡易爆弾にも引火したらしく、火力は増すばかり。
私はあのとき見た夢の、背を向けた父の姿が
見えたような気がした――。
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