第一章 8話

城の大広間には、スーツやドレスを着た貴族で溢れていた。昼にも関わらず、酒を飲む様子は、遠くから眺めていても嫌気がさす。


護衛として拝命された私達は、華やかな場から一転。国王が来るまでの時間をベランダで過ごしていた。

「なんだか、邪魔者扱いされてるみたいね!」

「仕方ないでしょ、セザンヌ。シルク国王の御命令よ?」

「でもさぁ... 」

セザンヌは、両手に菓子を持ち、またしても眉をひそめている。

護衛する関係上、規定の服を身に付けなければならない。そのため、景観を乱さないためということで、必要ない場所では人目から遠ざかることを指示されていた。



そして、いよいよその時となった。

「国王陛下から一言、お願い致します。」

王座のそばにたち、ちら、と室内を見渡す。

ステージ下の人々に特別異常なことはない。

乾杯の際に飲まれるワインに毒がないことはユージラが確認ずみである。

セザンヌは、室内の隅の方で様子を伺いつつ、荷物の中の火薬の匂いを探しているが、大丈夫そうだ。



シルク国王のスピーチに一区切りが入り、ワインに手を差しのばした




その時だった。



途端、鳴り響く銃声音。


弾丸は国王の手をめがけるも、咄嗟の判断により当たることはなかった。


すぐさま王座の奥にいる容疑者を捕らえ、機械の種類を服越しに確認する... が。



「... ない!」



彼は、紛れもなく、人間だ。



国民全体でのクーデターとも考えたが、一人のみの犯行だと捉えて間違いないだろう。

シルク国王への暴言をはいているようだが、呂律が回っていない。薬か、もしくは非愛国者の暴走だ。


ふと、国王の方に目を向ける。


彼の冷たい目がその国民に向けられた


「お前は、この国に不要だ。」




その言葉を、私は、肯定できなかった。

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