第一章 6話

スペア国は、伝統文化を愛する国である。

昔ながらの町並みや料理は、人々を癒す休息の国であった。

伝統を受け継ぐ弟子や子供たちは、知り合い、親戚が多く、人脈がとても広い。

そのため、気軽に伺えることから、土地が狭く、田舎のような場所であっても、人は絶えないのである。

陸軍の仲間たちは、そのスペア国の人々の優しさに触れたのか、よく楽しげな話が耳に入ってくるものだ。

セザンヌとユージラも、スペア国を愛する者の中の一人であり、お土産をよく貰う。...なぜそんなに休暇がもらえてるのか?


私も、そこの珈琲は好きなので、国王の防衛を以外と楽しみにしていたりもして。食事のみに限るが。


小さなバックに最低限のものを入れ、書類を改めて確認する。



スペア国のシルク国王の護衛。

御菓子を特に愛する国王であったが、細身の体に冷たい青い瞳を持っていた。

ただ、御菓子を食べるときや国民の人と会話をするときの表情は、想像できるようなものでない。

ギャップ、というのがあるのだろうか。

伝統を守るため、ということから警備を軽くしているのは国王の指示である。しかし、国民が暗殺を恐れ、我々帝国に依頼してきたのだ。このようなことを行う国もそうないが、スペア国らしいと思う。なんて心配性な国民なんだ。


時刻はまもなく就寝時間を迎える。

明日は早い出発となる、二人はもう眠っているようだ。




少し痛む左目を、包帯越しに押さえながら、三編みをほどくや否や、私は深い眠りについた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る