世界のはなしをしよう
第一章 1話
ごうごうと、何かが燃える音がする。
銃声と、悲鳴と、軍靴が愉快に踊る音が混ざり、パレードのような、祭りのような感覚を、ほんのりと暖かい火と共に感じる。
鉄のような臭いが、音がする方から鳴っていることが分かった。これはすぐに、血の臭いだと確信した。
そしてそれは、幼い私にとって、始めての感覚
だったが、どこか懐かしいような、また悲しいような気がしてならなかった。
私は今、一面炎の海を見渡せる場所にいる。
そして、私の隣には帝国の少佐と呼ばれるものがいた。
黒の制服を見にまとい、マントと煙をひらひら揺らしながら、愉快に笑っていた。赤い空に移る黒は、まるで世界の中心に立っているかのような存在感を覚える。
そして、父はこちらをちら、と見、
面白いだろう、と問い掛けたが、
私は、何も答えなかった。
10にもならないお子様にこれはちと難しかったかと続けては、私の頭を無造作に撫でた。
亡き母の手とは違い、ごつごつした手は、赤黒い何かをこびりつけていた。
私は、説いた
いま、なにをしているの?
父は、静かに答えた。
戦争さ。
人と、人でない物の争いさ。
ここで、私の夢は終わっている。
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