第6話『光の射す方へ』
十両最年長生之際の頭髪は後退を続けている。地球温暖化に伴う北極の氷や南極上空のオゾンホールのように永遠に広がり続けている。そこはまさに不毛の砂漠だ。そんな砂漠の砂の中に1粒だけダイヤモンドが混ざっている。それこそが生之際光、見苦しくも現役にしがみつき続ける元関脇の相撲であった。
富士卒婆の強烈な突きを頭部でスリップ。腕をおっつけて送り出し。同部屋の群馬灘が頭から突っかけるが輝く頭部で受け弾き返す!
「群馬! そんなものか!!」
己より格上の大関へ檄を飛ばす!
生之際はかつて相撲界最強と呼ばれたガチンコ力士なのだ。
「顔じゃねえぞ、このハゲェェ!!」
群馬が怒りに我を忘れて右フック、左フック、生之際は頭部をスリップさせて受ける。そこへ群馬灘の禁じ手! マゲ掴みだ!!これは効いた!!
「うあっ!!ひぎぎぎぎぎ!!!」「ARGHHHHHH!!」
両者ともに凄まじい形相!!角界の一等星に残ったバオバブの樹がもぎ取られてしまう!?
「うあっ!!ひぎぎぎぎぎ!!!」「ARGHHHHHH!!」
「うあっ!!ひぎぎぎぎぎぎ!!!」「ARGHHHHHH!!」
「うあっ!!ひぎぎぎぎぎぎぎ!!!」「ARGHHHHHH!!」
「ぬわわっ!!ひぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!」
「ARGHHHHHH!!」
(ぶちん……)
その小さな断絶音が国技館中に響き渡った。一瞬の静寂、右手に残ったものを見て呆然とする群馬灘、たちまち充満する観客の悲鳴!! 気の弱い観客は気を失う凄惨な現場だ!! しかし!!
「ドッソイッ!!」
無毛の生之際は、頭部の異変にも躊躇せず群馬灘を突き落とした。
「こっちは
死に体の生之際が観客席まで飛んだ!!
側面から全体重を乗せた八極弾の拳法が炸裂したのだ!!
角界追放現役プロレスラーの八極弾が叫ぶ
「そんな
綱取りを嘱望された元関脇は残る力士をぐるりと見まわし手首を返し、手招きした。
「さぁ、こい!! 土俵じゃ見れない夢を見せてやるぜ!!」
【残り7名】
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