双子のようだけど


 磁場は磁力が伝わる空間であり、電場は電荷が電気的な力を受ける空間でした。ではなぜこのような空間を考える必要があるのでしょうか。

 ニュートンが万有引力を考え出した時、地球と月、或いは地球と太陽という離れた物体の間でなぜお互いに力が働いているのか分かりませんでした。で、彼はこう考えました。何か神のようなものの存在が直接力を伝えているのではないか、と。だから例えば私たちが手で物を持ち上げるように、太陽の持つ力が直接地球に作用していると考えたわけです。この力は直接作用しますから、どんなに離れていても力の変化は間髪を入れずに相手に届きます。これを遠隔作用といいます。

 これに反対したのがファラデーで、離れた場所に力が作用するためには何か媒質的な「場」というものを力が伝わっていっている筈だと考えました。力が直接ではなく「場」を通って伝わっていくのですから、力が届くためには多少時間はかかりますが、とにかく「場」を伝わる力がある、これを近接作用といいます。

 まあ、流石に太陽と地球が見えないヒモのような物でつながれていると考えるのは無理がありますから、近接作用の方が正しいというのは分かりますよね。同じように磁力と電気の近接作用を説明するために磁場と電場が必要なのですね。

 とここまで押さえておいて改めてマクスウェル方程式に戻ります。

 ②ファラデーの電磁誘導の法則「磁場が時間的に変化すると電場が生まれる」と④アンペール-マクスウェルの法則「電流が流れたり電場が変ると磁場が生まれる」です。

 これは何を言っているのかというと、電場と磁場はお互いに影響しあっている、という事です。磁力と電気が直接影響し合っているのではなく、それぞれの力が伝わる電場と磁場はお互いに影響している…なんか不思議ですよね。

 電場が変化することで磁場が影響を受け磁力が変化する。或いは磁場が変化することで電場が影響を受け電荷が変化する。「場」が変化することで磁力や電荷が変化するのなら、磁力が電荷に、若しくは電荷が磁力に直接力を及ぼしてもいい筈ですが、そうはなっていません。何故でしょうか。そうしてしまうと、磁力と電気が全く同じものになってしまうからです。ですから、あくまでもそれぞれの場が変化して相手の場を変化させるというワンクッションが必要になるんです。何人もの科学者が何度も緻密な実験を繰り返してきた結果です。受け入れてしまいましょう。

 いや、ちょっと待ってください。電荷には正の電荷と負の電荷があって実はこれはまるで磁石のように、正の電荷同士、負の電荷同士では反発して、正の電荷と負の電荷だとくっついてしまうという性質があります。だったらこの「電荷」っていうのは本当は磁力なんじゃね?と考えたくなりますよね。

 ですので、本当は違うかもしれないんだけど、電荷というのを磁力だと考えて妄想していきましょう。まず、マクスウェル方程式から考えていきます。


 ④アンペール-マクスウェルの法則

  電流が流れたり電場が変ると磁場が生まれる。


 これは電気が流れる導線の中の磁場が整っているという事を表しています。では、どのように整ってるのでしょうか。導線を電気が流れると導線と垂直方向がN極とS極になります。という事は、磁力の向きが導線と垂直方向に向いているこの導線の中の分子か原子…面倒臭いですね。ここからは「分子か原子」を「粒子」と呼ぶことにします。磁力の向きが導線と垂直方向に向いている導線の中の粒子の数が、その他の方向を向いている粒子の数より多くなっている事になります。つまり、導線の中の多くの粒子の磁力の向きが同じ方向を向いていてこのことで磁場が発生している、要するに一時的に磁石になっているという事ですね。

 しかしこれはこれで、謎が増えてしまいます。これで電気が流れるのなら、磁力の向きが一定である磁石に導線をつなぐだけで電気が流れることになってしまいますがそのような話は聞いたことがありません。しかし、取り敢えずこの話は一旦置いておきます。


 ②ファラデーの電磁誘導の法則

  磁場が時間的に変化すると電場が生まれる


 これはどうでしょうか。「磁場があると電場が生まれる」訳ではないというのはさっきの「磁石に導線をつないだだけでは電気は流れない」というのと全く一緒ですね。つまり、電気が流れるためには磁場が変化し続けなければならないという事です。

 ここに導線があってすぐそばに磁石を置くとその瞬間磁場が変化しますからその瞬間だけは電気が流れることでしょう。しかし置いただけでは「磁場が連続して変化」するわけではありませんから、電気は一瞬だけ流れ、その後、電気は流れない筈です。と言うか、実験結果はその通りになっています。

 この導線に電気を流し続ける為にはこの導線に対して垂直方向に磁石を動かし続ける必要があります。この時電気が流れますが当然多くの粒子の磁力の向きが同じ方向を見ている筈です。この時この粒子には何が起こっているのでしょうか。

 磁石が動いたことによって電気が流れている導線の中では二種類の粒子があると考えられます。先ほども触れましたが、磁石の磁力の向きに向いている粒子と、磁石の磁力の向きとは違う向きの粒子です。ここから磁石の磁力の向きに向いている粒子を順粒子、磁力の向きとは違う向きの粒子を偏粒子と呼びましょう。

 二つの磁石があってお互いに近づけると、磁石が自分で動いてN極とS極がくっつくように方向を変えますよね。同じように導線の中の、偏粒子は磁石の磁力と自分の磁力の方向を合わせたいと思っている筈です。しかし残念ながら個体の中の粒子は自由に動くことはできません。それでも方向を合わせたい。ではどうなるか。どうにか方向を合わそうとブルブル振動を始めるのではないでしょうか。

 磁石が動かなければ磁力も変わりませんからブルブル動くこともないでしょうが、磁石が動けば磁力の強さも変わりますから偏粒子が激しくブルブル動く。その振動が伝わっていくのが電気なのではないかと妄想してみます。

 と、ここで一旦置いた話に戻ります。④アンペール-マクスウェルの法則です。「電流が流れたり電場が変ると磁場が生まれる」謎ですが、偏粒子の振動が電気なのだとすれば振動しない残った順粒子の磁力の向きが磁石になります。つまり、電気が流れても振動しない粒子があり、それが磁力の向きになるという事です。付け加えるなら振動している粒子からは磁力が消えるのではないでしょうか。

 これで②ファラデーの電磁誘導の法則と④アンペール-マクスウェルの法則について、取り敢えずは妄想で説明できました。残りは①磁場に関するガウスの法則と③ガウスの法則です。

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