さあ、妄想を始めよう

その光、あなたには見えていますか?

 光があるっつうのはありがたいです。昼間は分からないですけど、夜トイレに行くのに明かり無いと困りますからね。昔の農家なんて外にトイレのある家が多かったんで、子供たちがトイレに行くの怖かったと思いますよ。あ~、光ってサイコ~。

 ここまで、昔からの光の研究を辿ってきました。そろそろ妄想を始めたいと思っているのですが、その前に、現代物理学での光の定義はどうなっているのか、しっかりと知っておかなければなりません。う~ん、なかなか妄想開始とはいきません。

 ということで、ウィキペディアとかいろんな辞典で調べてみました。それによると、電磁波の中で人間の目で感じられるのを可視光線と言うんだそうです。この可視光線に紫外線や赤外線までを含めて「光」としているそうです。可視光線も紫外線も赤外線も電磁波の一種。という具合に、光は電磁波の一種と考えられています。光は電磁波の一種、これ大事です。私が妄想していく上でどんどん出てくる言葉になります。覚えておいて損はありません。

 さて、皆さんは光ってどんなものだと思っていますか?アインシュタインのこうりょうの話は置いといて、皆さんご自身が、光がどんな姿をしていると考えているか、ということです。

 「光の姿」と聞いて、スペシウム光線とかサーチライト、スポットライトなんかを頭に思い浮かべた人もいるんじゃないですか?

 スペシウム光線は論外ですが、サーチライトとスポットライト。真っ暗な空間に、ライトから放たれた光が、細く放射状に広がっている「」が頭に浮かんだ人も多くいるはずです。

 そのライトはビルの立ち並ぶ町や舞台の上の人を照らしていますよね。ではここで、ビルも舞台も人も何も無い空間、あなた以外何も存在しない真っ暗闇の空間を考えてください。その空間で懐中電灯を手にとってまっすぐに前を照らします。何が見えますか?

 懐中電灯から放射状に少しずつ広がっていく光の線が見えているのを想像したでしょうか?放射状に広がっている光の線。懐中電灯から出ている光と、真っ暗な空間との境目。あなたの頭の中に思い描いているその「光の境目」って本当にあるんでしょうか。いや、あるにはあるのでしょうけれど、真っ暗な空間と光の境目は目に見えるんでしょうか。見える…と答える人が殆どだと思います。光と闇の境目、本当に見えているんでしょうか。

 例えば、会社の会議なんかでレーザーポインターを使ってる人もいると思います。スクリーン上には動き回る赤い点が見えます。まあ、緑の点でもいいんですが、今回は赤い点としておきます。その点は「光」でしょうか?いいえ。それは赤く照らされたスクリーンです。皆さんが見てるのは赤い「光」ではなくて、赤い光が当たり赤く見えているスクリーンです。

 今度はスクリーン上の赤い点ではなく、手元にあるレーザーポインターとスクリーン上の赤い点の間を見てみましょう。赤い線が見えるでしょうか。見えないはずです。私も見た事はありません。

 お分かりですか?光は見えないんです。いや、言い方を変えましょう。光そのものは見えないんです。もし、光が見えるものだとしたら、ここにある目の前の物は全部、ボンヤリとしか見えないはずです。

 この手を見るときに、手と私の目の間に光があるとします。もし光が見えるのであれば一旦光を見て、それから手を見ることになります。つまり光というフィルターを通して手を見ていますから少しぼんやりと見えるはずです。

 もっと言いましょう。映画を見に行きます。映画館ではスクリーンに映像を客席の後ろの方から映しています。もしも光が見えるのならば映写機からの光が邪魔をして映像が見えにくくなるはずです。

「いや、映像がくっきりと見えるのは光が透明だからだよ」っていう意見があるかもしれません。この意見の通りに光が透明なのだとすれば、それはまさに「光は見えない」ということを言っているんです。つまり、光を見た人は誰もいないということです。皆さんが光を見た気になっているのは、おそらく漫画やアニメの影響でしょう。

 光が見えないのであれば、じゃあ何故人はそこに光があることが分かるのでしょうか。それは、物が見えるからです。物が見えるから光があることが分かるのです。光は世界を照らして見えるようにはしてくれますが、光そのものは見ることはできません。

 繰り返し言いますが、光そのものは見えない。これは妄想でも何でもありません。声を大にして言う人は少ないですが、これは事実なのです。光そのものは見えないという事は、しっかりと覚えておいてください。

 さて、その見えない「光」はどのようにして生まれているのか。神様が一日目に「光あれ!」って言ったから生まれたわけではありません。

 例えば、音はどのようにして生まれるのか。何かが振動してその振動が空気を伝わることで音になります。空気が無ければ、あ、空気じゃなくてもいいのですが、音を伝えるものが無ければ何かが振動しても音とはなりません。

 何かが振動して音になる、という事は、音というのは「これこれがこんな具合に振動しました」っていう情報が空気を振動させて伝わったものだと考えられます。

 じゃあ光はどうでしょうか。光は電磁波の一種でしたね。「波」と付いているくらいですから波として伝わっているはずです。それでは光とは何かの振動なのでしょうか。振動かどうかはあとに回すとして、ここでは光がどうやって生まれるのか考えてみましょう。

 あ、さっきから「光」と「電磁波」とごちゃ混ぜで言っていますが、ここでは電磁波全部を含めて「光」という表現をすることがあります。「電磁波」より「光」の方がなじみがあるからですけど。まあ、その時の気分で「電磁波」って言ったり「光」って言ったりしますが気になさらないでください。

 で、一番身近な光といえば太陽の光です。太陽の光は太陽の活動の結果です。太陽ではすさまじい勢いで爆発が繰り返し起こっています。その爆発は核融合反応だって言われています。核融合反応というのは原子核同士がくっつく反応です。原子核同士がくっついて爆発して、光になっている。

 核融合反応で光ができるって聞くと難しく考えちゃいますが、こんなのはどうでしょう。例えば紙を燃やします。火が出ます。太陽には遠く及びませんが、少しだけ明るくなります。これも光が出ています。

 燃えるというのは、物質、この場合紙ですが、紙の原子が酸素原子と結びつき炎を出すことです。何かの原子が酸素原子と結びつくことを酸化と言います。燃えることを「激しい酸化」なんて言い方もします。

 酸化と言えば思い出すのはサビです。サビも鉄が酸化した結果で、気付きにくいですが、実はこれも燃えている…って言うか熱を出していて、穏やかな酸化という言い方をします。使い捨てカイロ…あ~「使い切りタイプのカイロ」なんて言い方もしますが、これもこの穏やかな酸化をうまく利用している商品です。

 「穏やかな酸化は熱が出ているだけで、光は出していない」って思われているかもしれませんが、熱が出ているということは何らかの電磁波が出ているということになりますから、これもある種の光が出ているというように言えるわけです。

 こんなふうに、物質が酸化した結果光が生まれているわけですね。あ、それと、原子力発電は核分裂反応を利用しています。

 核融合反応に核分裂反応に酸化。どうやら、原子が何かをやらかすと光が生まれるようです。

 それと、何かが燃えなくても、光出すことはあります。蛍とかですね。それはルミネッセンスとかれいこうとか呼ばれていますが、これは電子による光だと言われています。電子が何かした光ならこれも原子が何かをやらかしたんだろうと考えられますね。

 つまり光というのは、こういう原子がこういうことをしました、っていう情報の一部であると言えます。

 例えば太陽だと、核融合反応を起こして爆発します。すると、これこれの元素が爆発してこれくらいの温度になりましたぜ、っていう情報が8分ちょっとかけて地球に届いて、その一部が光となって地面に降り注いでいる。

 光って目に見えないですが、どこか遠くから届いた光が、その光を生み出した場所や物の情報を伝えていると考えると、光に対するイメージが変わってきませんか。

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