第2話なんの取り柄もない私

私は自分自身を、才能に満ち溢れた魅力的な人間だと錯覚していた。

何故かは分からない、いや、馬鹿から気が付かなかったのだろう。今、敢えて過去形を用いたが、馬鹿なのは今も変わりない。


死にたいと思った。こんな取り柄のない、ただ暗いだけの人間なんて世間は必要としていないし。


何度も死のうとした。

でも全てが全て失敗に終わり、私生活が家族に管理されるようになる。

神って意外と意地悪で、死にたいと思うひとには死なない程度の負荷を抱えさせる。死にたいひとほど死ねない。


ひたすら簡単に死ぬ方法を探した。

どれを試しても、とてもではないが簡単でも楽でもなかった。

苦しいだけだった。


私はここで確信した。

生きるのがこんなにも辛くて苦しいのならば、死ぬのはもっと大変だと。


私は死ぬことを諦めた。


梅雨は辛い。

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