未来からやってきたAI

みし

最終話

 先程から最後の小説が全く書けません。一時間ほど原稿を眺めていたが、そこにあるのは真っ白な紙。一文字すら書けていない状態でじっと原稿用紙を眺めています。

「ああ、もう諦めた」

 僕は投げやりにそういった。

「そう言う事は言わないでください。作者様は、ここまで続けて来たんですよね。それだけでも十分凄いですよ。あとひと踏ん張りです。皆待ってますよ。頑張れ♥」

 リンドバーグ(自称:バーグさん)がそういった。デリバリープロバイダーとやらの誤配達で、送られた来た段ボールから出てきた未来型AIロボットである。しかし人間台のロボットが段ボールの中にどう梱包したのかサッパリなのだが、バーグさんに聞いてみても「秘密の技術です」としか答えてくれません。

 しかも返送しようとしても返送先に送り返そうとしても返送先が分からず、配送番号を手がかりに通販会社に聞いてもそんなものは送っていませんとの一点張りで対応してくれないのである。そう言う訳で、バーグさんはこの部屋に居座っているのであった。「そう言われてもアイデア出ないときは出てきません。出ないことには何も書けません。そもそも読んでいる人とか居るんでしょうか?」

 そもそも僕は、炎上が怖くてエゴサーチなど一切しない小心ものである。公開した小説を誰が読んでいるかなど当然知るわけもない訳で……。

「でも、プロットのストックがあるのでは……ほら、ここに……これを使えばどうにかなるのでは……」

 あ、それ見せたら行けない奴、思った時には手遅れである。は、禁断のアイデア帳を取り上げるとペラペラめくっていた。

「あのー、これは何でしょうか……えっと、お腰に付けたきびだんごを渡すと三サッキュバスが仲間になって、鬼ヶ島の鬼娘を拉致して官能の日々を過ごしした……えっ、これ一体何のお話ですか……」

「それ、えっちな小説のネタを書いたのですが」

「なんてモノを読ませるのですか><この変態作者様」

 バーグさんが、ポコポコ叩いてきます。まぁこういうのはむしろご褒美なので、次はもっとエロいのを仕込んでおくことにしましょう。音読させるのも良いですよね……。後で詰問されそうですけど。そう言う妄想ははかどりましたが、肝心な小説のアイデアの方が全く浮かんできません。

「でも、それを勝手に読んだのはバーグさんの方ですよね……」

「それはそうですけど……。私は作者様の作品を確認する義務がありますので」

 バーグさんは、顔をあからめながら、指先をもじもじさせながら言ってきます。

「それから、このアイデア帳はこれは没収しておきます」

「夜中にこっそりみながらエチエチするんですか?」

「エチエチとはどういうことでしょうか?……いえ、意味が分からない訳では無いです。間違った意味で使っていないか説明していただこうかと」

「それはね……」

 指先をくいっと動かしながらバーグさんの耳元でささやく。

「ふっ」

「ひゃぁ。この変態め><」

「ご褒美ありがとうございます」

 今日はご飯三杯行けそうである。

 僕はそれで満足したので、明日も朝早いのでベッドで寝ることにした。ちなみにバーグさんは床に布団を引いて寝てもらっています。押し入れに寝て貰おうと思ったのですが、そもそもこの部屋に押し入れがないので……。

「それではおやすみなさい」

「はい、作者様良い夢を」

「サッキュバスとか夢に出ないかなぁ」

「また、変なこと考えて居ますね」

「考えて居ません……」


 机の上には白紙のままの原稿用紙が残されていた。

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未来からやってきたAI みし @mi-si

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