ひとりごはん

クラピエ海溝

第1話「かつ亭」

学生時代によく食べた。

身に染みているかつ丼の味。

濃厚なデミグラスソースと揚げたてトンカツの相性は抜群だった。

ここに私の記憶に残っている“かつ亭”の味を残しておこう─。


私は“かつ亭”でランチを食べることで力を得ている。

入学式も卒業式も“かつ亭”でランチを食べた。

高カロリーで体の負担になるとしても食べたくなるのだ。


卒業して以降、“かつ亭”でランチを食べられなくなった。

それには岡山まで来て、食べる機会に恵まれなければならなかった。


卒業してからの6年間に十回ほど、“かつ亭”でランチを食べる機会に恵まれた。

そして、今日。その“かつ亭”でランチを食べる機会に恵まれた。

(やったー!久しぶりにモリモリ食べちゃうぞーっ!)


花見シーズン、岡山イオンでもイベントが開かれて道路は渋滞─。

“かつ亭”の看板を見て、まだ営業していることを知る─。


6年経って変わった客層─。

かつ丼が出来上がるまで、漫画を読む人は減って半数がスマホ。

写真撮って、タバコ吸って、電話して、挙句大音量で動画流して見始める人まで─。

タイミングが最悪だった。


漫画読みながら待って、漫画読みながら食べる。

漫画読みながらゆっくりと食べていられる場所ではなかった─。


それも店員は一人だけ。

(どうしちまったんだーっ!“かつ亭”!)

若い店員がめっちゃ頑張ってるのは伝わってきた。


出来上がったかつ丼は俺の知ってる“かつ亭”ではなかった。

カツが小さくて噛み応えがなく若干苦くて…ごはん少なくて…。

(まじかよ…嘘だろ…はじめてだぜ…これは…)


“かつ亭”のかつ丼は他のかつ丼店よりも格別に美味しいと記憶している。

私は何度でも“かつ亭”でランチを食べに行きたいと思う。

だから、カツが小さくなっていると感じたのはショックだった─。


私の中でベスト“かつ亭”のかつ丼は─。


・奥の歯茎の皮が剥けるぐらい肉厚でサクサクのトンカツ。

・ふわっとしたご飯。

・濃厚なデミグラスソースたっぷり。

(火傷しそうなほど熱いぐらいが丁度いい)


岡山に行ったら“かつ亭”でランチを食べるという選択─。

岡山県総合グラウンド(駐車場)から徒歩15分。

おかやまマラソン、後楽園─。

岡山に来たときは、ぜひ食べてみてね。


































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