春先の夜明け
夜明け前の空気はまだ冷たく張りつめて、吐く息は微かに白い。冬の忘れ形見のような冷気にくっきりと浮かび上がる静寂に身を委ねながら、私はただ無言で東の空を見ていた。
白む藍の端から橙に染まる。浮かぶ雲が鮮やかに色付いてゆく。
そうして、地平線から目映い橙の光が差した時──夜に眠っていた春が一度に息を吹き返し、冷気に研ぎ澄まされた空気に届けられた朱の光が何もかもに鮮やかな生命の色を取り戻させるのだ。
──春は、静と動の季節。
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