夜桜
儚い想いと共に揺れていた薄桃色の懸想文は、日暮れと共に白く浮かび上がってその表情を変える。その白色は、例えるなら、暗闇の中で愛を迫る女の柔肌とよく似ていた。
夜風に舞い、視界を覆い、夜が明けても瞼の裏で踊り狂い続ける。愛しいひとから決して離れまいと。愛しいひとを決して離すまいと。
ただ彼の人の視界を病的なまでのその白色に染めんとする花は、間違いなく美しき執念の囚人で、狂気の成れの果てであった。
──暮れ方、満開の桜花は、愛と狂気の境界に在るのだという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます