そして、それは、友を呼ぶ

紫斬武

そして、それは、友を呼ぶ

ああ、ああ、何て可愛いの!


私はそっと、心の中で思った。


私は恋をしている。


初めて見た時から、私は彼の虜。


ふんわりとした髪質、綺麗な髪色、アイスブルーの瞳、あどけない笑顔。


彼を見る度に私の心は跳ね上がる、寧ろ鼻息が荒くなる。


きっと、いや、絶対に純粋、人の言う事は信じるタイプ。


あーもう、腹チラなんて、チラリズム心を擽り過ぎる。


鞄も可愛いし、付けてるトリっぽい人形も可愛いし、お揃いにしたい、寧ろ彼がキーホルダー的なアクセサリーになれば良い。


いつでも一緒、これ大事。


世界中を旅して、使命があって、でも方向音痴って、可愛いしか言えない。もう可愛い、ほんと可愛い。鞄に地図を入れてるのに読めなくて、道に迷うとか、はぁ……、可愛い。


少年だから、うん、半ズボンは当たり前、半ズボンは少年のアイデンティティね。


帽子だって、彼だからこそ似合うのよ、水兵さんをイメージかな?帽子、鞄、半ズボン、そして手袋。何もかもが、私の好み!


本に描かれた彼を見ながら、私は軽く溜め息を吐いた。


「はぁ……、可愛い、好き過ぎる、カタリくん」


____________________


あー、可愛い、可愛すぎる。


俺は心の中で、激しいまでに叫ぶ。


俺は恋をしている。


初めて見た時から彼女の虜。


色素の薄そうな髪、色白の肌、淡いオレンジ色の瞳、可愛いはにかむような笑み。


彼女を見る度に俺の心は熱くなる、寧ろ色々元気になる、ナニがとは言わないが。


彼女に罵られたい、あの可愛い笑顔の侭に毒舌を吐かれたい、興奮するのは仕方がない。


網タイツが似合いそうだな、今穿いてるタイツにはあはあしちまう。文字通り、はあはあ。


ピアスしてるんだな、似合う。俺がピアスになりたい、彼女の一部に。変態じゃない、彼女を好き過ぎる結果だ。


彼女の人形が出ないだろうか、バイト代を叩いて買うんだが、かなりのクオリティーを求めるが。


人形が発売したら、いつでも一緒、これは大事だ、凄ェ大事だ。


胸も結構あるよな、俺は巨乳派とちっぱい派でいったら、巨乳派だからかなりイイ。スカート短い、足が出てる、そこもイイ。


ギャップだな、やっぱりギャップは大事だ。可愛く優しそうな雰囲気なのに、痛いとこをついてくる、はぁ…罵られたい、罵倒されたい、俺はMなんだ。


本に描かれた彼女を見ながら、俺は軽く溜め息を吐く。


「はぁー……、可愛い、可愛い過ぎる、リンドバーグちゃん」


____________________


「はぁ……、可愛い、好き過ぎる、カタリくん」


「はぁー……、可愛い、可愛い過ぎる、リンドバーグちゃん」


放課後の図書室、溜め息混じりに聞こえた少年少女の呟き。


彼女の耳には彼の声が。


彼の耳には彼女の声が。


少年少女は見ていた本から顔を上げ、声の上がった方へと互いに視線を合わせる。


合わさる事、数秒。


しかし二人の間では、何時間、いや何年くらいの月日が流れているような時間が経っている。


目で語る、互いに推しについての、同じ世界観を持っている事に。


二人が推しである、カタリとリンドバーグについて語るまで後、数秒。


少年少女は無二の親友となるまで、後、数秒。

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そして、それは、友を呼ぶ 紫斬武 @kanazashi

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