ふたつの魂

勝利だギューちゃん

第1話

「やあ、久しぶり」

「・・・うん、そうだね」

「そっけないな・・・久しぶりの再会、もっと感激してよ」

「できるか!」

「それも、そうか・・・」

目の前の少女は、いたずらっぽく笑う。


僕の名は、片瀬勇気。

18歳の男子高校生だ。


目の前の少女は、佐津間紅葉。

去年まで、同級生だった女の子だ。


そう、「だった」


彼女は、昨年の暮れに、流行病であっけなく逝った。

全く、人の命とはわからない。


神様とは気まぐれだ。


で、僕は今、彼女と話をしている。

逝ってしまった彼女とお話できるのは、その答えはひとつしかないわけで・・・


俺も、同じ流行病になり、短い生涯を閉じた。

そして、ここにいる。


つまり、あの世・・・


「それにしても、君が来るとはね」

「僕も、君と同じ世界に来れた事が驚きだよ」

「どうして?」

「一生懸命に、生きていた君と違い、僕は怠惰だったからね」

全く、神様の基準はいい加減だ。


「実はね」

「うん」

「君をここに呼んだのは私なんだ」

「えっ?」

驚いた。

なぜ、その必要がある?


「私が神様に嘆願して、君に来てもらったんだ」

「その心は?生き返らせてくれるのか?」

「それは無理。私はもちろん、君の体も、もう火葬されているから」

「だよね・・・」

まあ、生き返っても、同じ事を繰り返すと思うが・・・


「で、何で僕を呼んだ?理由を聞かせてくれ」

「聞きたいよね?」

「ああ」

それを聞かないと始まらない。


「率直に話すと、一緒に転生してほしいんだ」

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