昔の同僚が結婚した、との報せを聞いて、主人公は6年前の思い出を回想する――〝彼女〟を語る主人公の言葉が綺麗なものばかりで飾られていて、彼女だけではなく、彼女との思い出そのものが主人公にとって美しいものであることがうかがえます。切なくはありません。ただ、美しい思い出に浸っているだけ。6年の月日を経て気づいた思いを祈りに変えて、主人公が新しい音楽をかける=彼女とは別の道を歩む。その描写がとてもしっとりとして、気持ちのいい余韻を残していました。