第16話 破壊!暴走と化したラスエル!(夢の中編)

ブルンブルン、ボルブルルルルルン!

「おや、ここはどこかな?」

「ラスエルの夢の中にようこそ!おとうさん!」

幼児用に運転席がカスタマイズされたレクサスのハンドルをラスエルは握っていた。

「いやに現実感があるんだが、フルカラーで音声付きの夢かぁ、こいつは良いアトラクションだ」

「おとうさんを素敵なドライブにご招待!」

ラスエルがアクセルをグイッ踏み込む。

レクサスは急発進!飛ぶように走る!道の途中の家を跳ね飛ばし、空高く舞い上げていく!

「やりすぎぃ!!」

加速度でのめり込みながらサラマンは叫んだ。

「うひ!間もなく橋を渡りまぁす!」

レクサスは吉野川大橋に突っ込み、ボボボボボボッと蛇がうねるが如く、対向車も前方車両も跳ね飛ばしていった。跳ね飛ばされた車は

「うひーーー!」

と叫びながら、虹を描いて、クリスタルの破片をばら撒きながら、橋の道路に激突していくことになる。

「川上りのツアーにご招待!」

ラスエルがハンドルを右にきると、鉄骨をぶち抜いて、橋からダイブ!

レクサスから羽とジェット噴射機が生えてきて、川に落ちる寸前で爆発的加速!

水面を滑りながら吉野川を走る走る。

途中で海苔の養殖を全部台無しにしていった。

「これから源流に向かいまぁす!」

可動堰も固定堰もまとめて粉砕しながら山へ山へと登っていった。


「ウィルソン株!どうしてこんなところにっ!」

吉野川の源流には大層大きな切り株があり、中がぽっかり空洞になっていて、そこから源流が湧き出ていた。ちなみにウィルソン株は屋久島の屋久杉に至るまでの経路に実在する。

「おとうさん、お弁当にしよう!」

ラスエルはウィルソン株の中に入っていって、内側から株をコンと叩いた。

一度叩けば、鮭入のおにぎりが、二度叩けば、昆布が入ったおにぎりがぽぽぽんと飛び出た。

サラマンとラスエルは、おにぎりを頬張りながら、水筒のコップで湧き水を頂いた。

「「おいしーーー!!!」」

涼しい風に吹かれながら、二人はお腹いっぱいおにぎりを食べ、苔の絨毯でお昼寝をした。

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