大学生にお持ち帰りされた社会人

那珂町ぐいと

第1話

(また今日も会社で怒られてしまった...。なんでここまで私が集中的に怒られるんだ...。)

私が務めている会社は、そこまで大きくはない、いわゆる中堅会社と呼ばれるものだ。

「はぁ...。なんでこんな会社に入っちゃったんだろう...。勢いだけで面接を受けてまさかの合格なんて...。」

そう、私は酒を飲んだ勢いでこの会社に履歴書を送り、そして何故か面接官と意気投合し今に至る。

「お前も大変だな。あそこまで怒られるなんてなんかお前に気があるんじゃないか?」

後ろからふざけた調子声がする。こういう時はいつも...。

「葛城さん!私は嫌です!あんな熊さんにボッコボコされたような顔みたいな人なんて興味ないですよ!」

「はっはっは!お前もよく言うな!良し、今日は俺が怒られ屋の田中悠に飯を奢ってやろう!」

「ホントですか!ありがとうございます!先輩も良いところあるんですね。」

「おい、それじゃあ俺には悪いところしかないみたいな言い草だな。」

「だって、そうじゃないですか。女癖が悪いところ。すーぐ可愛い子とか飲みに誘うじゃないですか。」

「それはそれ、これはこれだ。」

この人はいつもこうだ。自分の都合が悪くなるとすぐこうなる。

「てか、早く終わらせろよな。早くしないとまた面倒な仕事押し付けられて泣く羽目になるぞ」

「それだけはイヤだ!じゃあまた後で!」

そしてなんとか定時にちょうど仕事が終わり一息ついていると、

「お疲れさん、行けそうか?この後」

「はい!バッチリですよ!なんせ久しぶりに本気出しましたから!」

「ならその本気を毎日出してくれよ...」

そんなこんなで今日の仕事が終わり、先輩のおススメの居酒屋へとついた。

「先輩、ここって先輩がいつも行ってるとこですよね?」

「おう、そうだがなんで知ってんだ?」

「だってよくここで飲んだ時ツイッターとかにあげてますよね。だから前々から気になってたんですよ」

「じゃあ、期待しとけここの料理は美味いぞ!後なここのバイトのわかちゃんが可愛いんだよ!」

「....、先輩そのわかちゃんって子目当てで来てません?ここ...。」

「そ、そんな事はない!ここの料理が美味しいから来てるんだ!」

「はいはい、じゃあ入りましょうよ。」

私はその店の扉を開けるとなお客様を迎えるとても元気な声が私達を迎えてくれた。

「いらっしゃませー!何名様ですか?」

「二人だ。座敷の方空いてる?」

「2名様座敷ご案内でーす!」

(久しぶりにこういうお店に来た気がする...。最近忙しすぎて行く機会がなかったからなぁ...。)

「あ!葛城さん!また来てくれたんですね!」

多分大学生くらいのボーイッシュな可愛らしい女の子が葛城先輩に声をかけた。

「お!わかちゃん!今日も来ちゃったよ!」

「あの、先輩、この子がその...。」

「あれ?葛城さんこの方初めてですか?なら自己紹介を、自分、緒方和佳奈っていいます!どうぞ和佳奈とお呼び下さい!」

「は、はぁ...。わ、私は田中悠っていいます...。」

「悠さんですね!覚えました!ところでご注文は?」

「俺は取り敢えず生で。悠は?」

「あっ、じゃあ私も生で...。」

「かしこまりましたー!生二つ入りまーす!」

(なんか...、若い子って凄いなぁ...。あんなに笑顔で楽しそうに働いてるなんて...。)

そう思い私がうなだれていると、

「どうだ、可愛いだろわかちゃん。」

「はい...。私にはとても輝いて見えます...。」

「はっはっは!確かにな!だがお前もうちに入って来た時もあんな感じだったぞ!」

「そうなんですか...。」

自分では意識していなかっ為素直に受け取れない。

「まあ、でもあんな可愛い子に彼氏がいない訳ないよなぁ...。」

「狙ってるんですか?」

「いや、あれは可愛いがちょっと明るすぎる。俺の好みはちょっとおとなしい人だからな。」

「はいはーい、大人しくなくてすいませんね!」

「うおっ!?わかちゃん!?いつからそこに!」

「可愛い子に〜あたりですよ」

「なんで言ってくれないんだ!田中ァ!」

「だってそっちの方が面白いじゃないですか!」

私は笑いながらそう返す。

「じゃあ、注文の生二つです。ごゆっくりどうぞ〜」

「ったく...。じゃ、今日一日お疲れさん。乾杯。」

私達は軽く乾杯を済ませ、今まで会社で起きた出来事、時には上司の悪口を酒の肴にし、夜遅くまで飲み続けていった。そして先輩がお会計を済ませている時私は...。

「お、おぇぇぇぇ...。飲みすぎたぁ...。」

「大丈夫ですか?悠さん。」

「ありがとう...。和佳奈ちゃん...。」

お店のトイレで介抱されていた。

「いや、別に慣れてるからいいんですけど....」

「すいません先輩...、先に帰って下さい...。私もうちょっとかかりそうです...。」

「そ、そうか、気をつけて帰れよ...。一応お前明日会社休め。俺から連絡入れとくから。」

「ありがとうございます....。」

「じゃあ、わかちゃんよろしくね...。何かあったらソイツ経由で連絡寄越して」

「はい、わかりました。」

「おぇぇぇぇぇ....」

「ふむ...、店長!自分先上がって良いですか?」

「なんだい、和佳奈お前さんまた面倒事持ってきたのかい」

「まあ、そんな感じです。」

「良いよ、ただしそのかわり来週のシフト結構キツめに入れるからね」

「わかりました!じゃあ自分着替えて来ます。」

そう言って和佳奈ちゃんが奥へ消えて数分後、私服の和佳奈ちゃんが姿を現した。

「お待たせしました。じゃあ自分の家この近くなんでウチ来ます?」

「うん...お願い...。」

そして店を出た瞬間に私の意識は唐突にブラックアウトした。

次に目を覚ますと

「あ、おはようございます!どうです?体調の方は」

「ちょっとまだヤバいかも...。ってなんでアナタがここにいるの!?」

私が寝ているベッドのとなりには私の隣で裸で一緒の布団に入っている和佳奈ちゃんがいた。

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大学生にお持ち帰りされた社会人 那珂町ぐいと @Masumurukai58

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