第19話 月の傾く頃

「あとでって一体いつなんだろ……」

 わたしはスマホにためいきを落とした。

 待ちくたびれた彼からのメッセージ。

 それが来ないと眠れないわたしは大分ヤバい。

「これじゃまるで中学生だわ」

 心より体を戻したい三十路前。

 そんなわたしを夜空にふらっと現れた月が笑っている。

「何よ、まんまるい顔してさ!」

 月に向かって毒づくと、ベッドに横になったまま。

 褒められた黒髪が乱れるのを気にかけもせず、ディスプレイをただ睨んでいる。

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