第13話 初詣の祈り

「来年も一緒に来られますようにってお願いしたの」

 賽銭箱の前で手を合わせたまま、真面目な顔で彼女が言う。

 その凛とした横顔に、ぼくはいつもの照れ隠し。

「来年だけじゃ嫌だな」

 えっ、と驚いた顔の彼女に、

「再来年くらいまでは一緒に来たい」

 ぼくはニヤリとしてみせる。

 彼女の眉はキリリと上がり、春色の着物の袖が翻る。

 ふん、と背を見せた彼女の手をぼくは取る。

 その手をずっと放すつもりが無いってこと、神様は知っている。

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