3. 自称神の人のお礼がある意味すごい
失敗した…うんこれは誰が見ても大失敗だね。
私の今の現状を説明するとアスカルードという男の子に食事に誘われた。まあこれはいい。問題はこの後なんだけど言われるままついていくとなんか大きなお屋敷についたのよね。どうやらここで食事をするということだったのだけど…なんか今現在この町で利用している屋敷なんだって。
ええ…なんかおかしいなと思ってましたとも。大人の人を2人も連れていて、それが親子ではない。アスカルードの態度をみるとわかるんだど、どうみてもアスカルードのが立場が上。つまり2人はアスカルードの護衛だったってこと。これがわかると色々見えてくるわよね…それなのについただ飯に釣られてこんなとこまで来てしまったのが運のつき。
まあ食事は助かるし仕方がなかった…お互い軽く自己紹介などしてギルドのことも説明してくれた。でもその後どうやらこの国ではお酒とかの年齢制限がないらしくて目の前に出されたので興味本位で飲んでしまったのが失敗だった。もう何が言いたいのかある程度予想がついていると思うのだけど、そう…お酒を飲んだ後の記憶がないのよっ!!これはやばいね…私何かやばいことしちゃってないかしら。
というか今現在すでに混乱中。はい、さっきまで寝ておりました。起きたらなんか妙に豪華なベッドの上。着ている服も少し上質なものだと思われる薄手の寝間着。とりあえずわかってることはお酒のせいでアスカルードのお屋敷にお泊りしてしまったってこと。
それと…なんでアスカルードが同じ部屋で寝ているのかしら…?
まあ…ベッドが違うからきっと何もなかったとは思うのだけど…アスカルードも見た目どおりの年齢なら10歳くらいだしね?私みたいな一般人と一緒の部屋で寝たとか何を言われるかわかったもんじゃないだろうからね。と言うわけで銀太とっととこの部屋からまずは出るわよ?
『…ん?ああ、あるじはさっきから俺に説明してたんっすかそれ?』
「あたりまえでしょ…他に誰がいるのよ。」
銀太はすぐ足元で寝ていたから問題なし。後は元から着ていた服や荷物よね…あ、あった。ちゃんとまとめて置かれているわ。ほんとはすぐ着替えたいんだけど、アスカルードが寝ているこの部屋で着替えて途中起きてこられても困るから、荷物を抱えてこの部屋からまずは出ないと……
そ~と扉を開け外を覗くと…
「おはようございます。よく寝ていましたね?」
「あ…はい……」
部屋の外にはアスカルードの護衛についていた女性が立っていて逃げることが出来なかった…その女性が通りがかったメイドに声を掛けるとそのメイドに別の部屋に連行された。うん…もうねめんどくさい。なんか着せ替え人形的な扱いを受けたよ。というかなんでここに私が着れるサイズの服が用意されていたのか聞いたんだけどね、メイドは笑うだけで答えてくれなかったよ!
この後起きてきたアスカルードと朝食を済ませたんだけど気まずいったらなかった。食事はありがたかったけど味はまったくわからないし、微妙に気まずい雰囲気の中会話もほとんどしなかった。
「で…ナナミはしばらくこの町にいるのか?」
「えー…そうですね。他に行くところもないですし。」
「そうか。」
うん。何を理解したのかわからないよ?まあ食事が終わった後帰らせてくれたからとりあえず少しだけほっとした。まあ…お酒飲んだ後の記憶は戻ってきてないからもうここには近づきたくないです!
冒険者ギルドの前までは送ってもらった。うん、道がわからなかったからね。護衛のおねーさんありがとう!さて、まずはいったん廃教会に行きますか。
☆
☆
☆
そっと扉に手をかけ廃教会の中へ入る。相変わらずここには誰もいない。浮浪者的なのが住んでいてもおかしくないのに不思議だ。そのまま石像の前に立ち眺めてみる。
「そっくりよね…」
目の前にある石像は自称神にそっくりだ。最初見たときは気にもしなかったがやっぱり似ている気がする。とりあえず前と同じように祈る姿勢をとってみる。
「うむ。いい心がけだな…」
予想は的中。また自称神があわられた。違うか…自称神のいるところへいけた、が正解??
今度は普通にちょっと豪華そうな椅子に腰掛けている。それ以外は特に何もなく、あたりは真っ白だ。なんで前回と全然違うところなのかは気になるけどもまあ共通して言えるのはどっちも普通ではないということ。
ところで何がいい心がけなのだろう。祈ったこと…かな?
「いや、私の頼みを聞いてくれたであろう?」
……今私声にだしてたかな?出していないつもりだったんだけど。
「この場所で秘密にできることなどありはせぬ…私以外には。」
「はあ…そうなんですか?」
「さて…折角だから何か願いを1つだけかなえてやろう。何を望む?」
望みか…そりゃーやっぱり日本に帰ることだよね~なんかこの国変だし。
「すまないが今はそれは出来ない。それ以外で必要としていることはないか。」
流石にそれはだめか…となるとお金とか…?いや、でもこれはまだ稼いで見てもないからどうしてもと言うことでもない。うーん…
「あ…そういえば私何のために冒険者ギルドへ行かされたんですか?」
「そうだな…詳しいことは言えないのだが、お前がそこにいくとこに意味があったとでも言っておこうか。その行動でおきた結果などは予想もしていなかったがな。」
うん、意味がわからん。わからないけどまあ…私がそこにいくだけでとりあえず頼みとやらはおわったっぽい?
「して、願いは決まったか?」
「あー…そうですねこの国のことを詳しく知りたいっていうのもありますけど、今はやっぱりこれですかね。寝泊りする場所?拠点確保がいいかなーと?」
日々の食費はその都度稼ぐとしてやっぱ安定した寝場所は必要。…でも自称神が宿代とか出してくれるかどうかはわからない。なら場所そのものをもらえたらいいなーというね。
「ふむ…ならこの教会に住めばいい。」
…え。いやいやいや。確かにそんなに汚くはないですけど、いつ誰が入ってくるかもしれない場所になんて住めないよ?
「それなら大丈夫だ。この教会はすでに使われておらぬし、お前以外は入れないように結界を張っておいたからな。」
…また結界。ほんとなんなのそれ。それに私以外というけど銀太は入ってこれてるじゃない?
「訂正しよう。お前とお前が許可するものだな。」
えーとつまり…?簡単にいうとマンションとかのオートロックみたいな感じかしら。
「まあそんな解釈でよい。おまけとして教会の中に1つ扉があったであろう?そこにお前の部屋を用意しておいた。使うとよい。」
ふむ、それでいいんだ…って部屋?
「ではまた次の頼みが出来たときにでも声を掛けるとしよう。」
「え、声を掛けるってどうやって…?」
………むぅ。また教会に戻されてしまった。
まあいいや…それより部屋だっけ?えーとこの右側にある扉よね…これしかないし。
最初にこの教会に来たときに扉があるのだけは確認していた。もちろん入ってみてはいないのでどうなってるかは知らない。
この扉の向こうが私の部屋ということか…
多少は警戒しつつ扉を開けて中を覗く───
「…は?いやいやいや…っ」
これはどういうこと??部屋の中は私がいた日本のまさに私の部屋だった。ベッドと本棚、テーブル…それに一応クローゼットもある。ただ窓はないみたいでもちろんカーテンもついてない。ベッドには布団がひかれているのでこのまま使えそうだ。クローゼットの中には何も入っていない…と思ったらリナに貰った服がかかっている。本棚には本が少しだけ。
「少しだけ違うのね…というかなんで鞄にいれてた服がかかってるのよ…」
腰につけているマジックポーチに手をいれ服を出してみる…出てきた。…あれ?だってクローゼットにかかっていたでしょ?
クローゼットのほうを見ると今取り出した服がなくなっていた。
「えーと…」
今度はクローゼットのほうを見ながらマジックポーチに服をしまう。…あ、いきなり服がクローゼットにあわられた…何だこれ。何度か繰り返してみるとやっぱりこの2つは繋がっているように見える。
「変なの…まあ便利?」
じゃあこっちの本棚はどうなってるのかしら?適当に1冊手に取ってみる。
「冒険者ギルドについて…?」
本のタイトルだ。ぱらぱらとめくって中を確認すると、昨日アスカルードが教えてくれた内容が書かれていた。一部空白な所もあるのはなんでだろうか?よくわからないけど教えてもらった情報が並んでいるってことなのかな…
これも何故かマジックポーチから出し入れできた。覚え切れなかったことも後で確認出来るのは助かるわ…
「ななみの日記…」
どうやら私のここに来てからの記録みたい。それなら今は見るまでもないわね…というか見たくない。
「何も書かれていない本があるわね。」
まあとりあえずいいか。
それにしてもこの部屋はいいわね。全部ではないけど見知った場所はかなり落ち着く。廃教会に住めばいいと言われたときはちょっと困ったけどこの部屋なら問題ないわね。
…さて、とりあえずここでの拠点は手に入れた。次はお金稼ぎよね…昨日は食事代浮いたけどこれからは稼がないと食べていけない。もちろんそれだけじゃなくてこの国のことも知っていかないと生活しにくいったらありゃしない。その上で日本に帰る方法を探す…うん、思ったより忙しそうだ。
じゃあまずは冒険者ギルドにいって『依頼』とやらを受けてみようかしら。そうだその前にこの腕輪を使ってみよう。腕輪のえーとここかな…指を置いて欲しい情報を言う…だっけ。
「登録ギルド。」
《ななみのとうろくぎるどは『ぼうけんしゃぎるど』1けんです。》
ちょっと棒読みな音声と腕輪の上に半透明な板に書かれている。ちなみにこの板は触れない。試して見たけど手がすり抜けてしまう。えーと…冒険者ギルドに登録しただけだから聞いてみたけど、他に何が確認できるのかな…
「あー地図とか?」
《どちらのちずをひょうじしますか。せかいちず、しゅうへんちず。》
あったよ地図。…そうねまずは世界地図かな?今自分がどこにいるのか知っておきたいし。
「世界地図で。」
《せかいちずをひょうじします。》
でたで…た…あれ?どこの地図よこれ…地球の地図には見えない。正確に覚えているわけではないけどどうみても違う。だって日本がないもの…
「なんかの間違いかも知れないし…ひとまず周辺地図もお願い。」
《しゅうへんちずをひょうじします。》
うん、これだとこのイシュレットガントの町の地図になるのね。ふぅん…この光っているところが現在位置かな。あとは…私の情報が登録されているはずよね。身分証というくらいだし。名前と年齢いったし?
「えーと…私の情報?」
《すてーたすをひょうじします。》
あ、ステータスって言うのね。
名前:ナナミ
年齢:17
種族:人間族
職業:-
冒険者ランク:10級
体力:E
魔力:F
筋力:F
防御力:F
生命力:B
俊敏性:F
器用さ:F
知力:F
運:C
【ユニークスキル】『神通信』
そうね…冒険者ランクは一番下まあそれはわかる。まだ何もしていないもの。職業もないから空白。他のFがならんでいるのはなんだろう…それと神通信ってやっぱあれか?自称神と会話できるヤツ?
「このFは何?」
《すてーたすのしょうさいをひょうじします。》
SSS:数値100001以上
SS:数値100000~50001
S:数値50000~20001
A:数値20000~8001
B:数値8000~3001
C:数値3000~1001
D:数値1000~501
E:数値500~101
F:数値100以下
ふむ…?なんか数字にするほうがよくわからないわね。生命力と運があるみたいだから死ににくいってことでいいのかな…
とりあえず確認するのはこんなとこでいいか。後は必要なときに見てみよう。
「銀太、冒険者ギルドにいくわよ。」
『ん?狩りか?』
「狩り?仕事の内容みないとわからないわよ。」
ものめずらしいのか部屋の中をうろついていた銀太に声をかけ、私は再び冒険者ギルドへと向かう。アルバイトとかロクにしたことなかったから少しだけこれからが楽しみだ。
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