第133話 乗り込めガネット城

捉えた鎧男からアリシアの居場所を聞き出した涼達は船の修理を始めたが、がっつりと壊れている為しばらくはかかりそうだ。

信道の宝救丁もガネットで鎧男の仲間が持っている事がわかりだったら余計に向かうしかない。でもどうやって…?


「しかし派手に壊したな…」

「面目ないであります…」

「何とかなりそうか?」

「幸いにも魔宝石が使えるここなら何とかな!」


魔界じゃ直すのも一苦労だったが、マナが充満してるこの異世界の魔宝石なら修理も難しくないらしく信道も手馴れたもんだ。流石錬金術師だな。


「魔界じゃ魔宝石がなかったでありますからエネルギーだけはどうにもならなかったでありますから」

「心臓部の破損がなかったからな。外部ならまた魔宝石で補強すりゃ直ぐ直る!」

「魔界で大量にもらったガラクタが役に立ったでありますよ」


ベルはコンテナパーツをバラすと中の機械を弄り回す。

信道は凹んだ箇所をレジスタンスが分けてくれた鉱石を使いコーティングして修理する。


「しかし、あんなガラクタと石で良く修理ができるわね」

「信道は凄いだろ!パーシー!」

「いやいやお二人が石を分けてくれたおかげですぞ」


ルーガルはそう言うと工具片手に飛び上がり甲板へ向かう。


「たく、破損が酷いのによく落ちなかったな」

「元の作りがしっかりしてるからでありますよ!」


ブリッジのコンソールの下から出てきたベルが涼にそう言う。


「なあベル後どれくらいで動けるんだ?」

「のぶさんが来てくれたでありますが…それでももう暫くは無理でありますね。中身はともかく外装のダメージが思ったより酷いでありますから。」

「マジか…こうしてる間にもアリシアに何かあったら…」

「今は焦ってもしょうがないでありますよ。とにかく修理して万全の体制で臨むでありますよ!」


ベルはそう言うとまたコンソールの下に入り込み修理を始めた。


「とりあえず一息つかないか?」


信道が2人を呼びに来た。

信道が厨房で簡単ながら料理を作ってくれた。


「う〜ん!美味いであります〜」

「信道の飯美味いよな!」

「本当。レジスタンスでも大好評なんだから」

「ありがとう。」

「やっぱ食わないと力出ないしな!」


茶碗の飯をかっこむ涼。


「で、船がこの有様でどうやってガネットへ入り込むんだ?」

「そりゃ正面突破だろ!」

「ですな!」

「お前ら単純だな…」


いや馬鹿なだけだ。


「無理よ今ガネットには入れないわ」

「どう言う事なんですか?」

「街にはデカイ城壁に黒い巨人がずっとはっていて中に入れないんだよ。アリ1匹はいれないんだよ」

「小人のポップくんが言うなら間違いないんですね」


アリ1匹は入れないとなると空から入るか?

いや、アリ1匹は入れないとなると空なんかもっと駄目か。

おそらく大砲をぶっ放されんな。


「うーむ。何とか気付かれずに中に入れないかな?」

「なあ、水貰っていいか?」

「ああ、冷蔵庫に入ってるから」


涼はよそ見しながら冷蔵庫を開ける。

中から水を出そうとしたら何も中には無い。


「アレ?」


涼は冷蔵庫の中を覗くと見覚えのある空間が広がっている。

この空間はそうだ馬車の秘密基地の出入り口のあの圧縮空間のトンネルだ。


「まさか繋がってる!?」


涼はまさかと思って冷蔵庫の中に入っていく。


「涼?」

「アレ?何処行った?」



涼は船の冷蔵庫に付けたままだった転移トンネルを通っている。まさか繋がってるなんて思わなかった。

やがて見覚えがある扉が見えてきた。荷馬車の中の秘密基地の冷蔵庫の扉である。

涼は恐る恐る開けようとするが開かない。


「開かない?この!」


涼は扉を蹴飛ばすと開くと涼は吸い込まれ外に投げ出された。


「いてて…ん?ここって?」


何処かのガラクタ置き場である。

どうやら秘密基地は破壊されたらしく冷蔵庫はたまたま壊れず繋がったままこのゴミ捨て場に捨てられていたのだろう。


「ゴミ捨て場か?」


涼は瓦礫のゴミの山を登ると見えた景色に見覚えがある。


「此処はガネットか!?」


そう此処はガネットの外れだったのだ。

破壊された街の瓦礫が此処に捨てられたのだろう。

まさか基地の冷蔵庫が壊れずここに放置されていたなんてな。


「近道見つけたぜ!」


涼は瓦礫のゴミ野良山から滑り降りると冷蔵庫を通り抜け急いで船へ戻った。


「たく、手間がかかるったらないな…」


影から見ていた謎の人物はそう言うと消えた。



「何!?基地の冷蔵庫がまだ動いてた!?」

「しかも、ガネットの外れに捨てられてたって」

「基地はやっぱ壊されていたのか…」

「でもガネットへ入る方法が見つかりましたね!」


確かに中に気づかれずに入り込めるなら越した事はない。

外でドンパチして騒ぎになったら面倒だからな。


「明日朝一番にガネットへ乗り込んでアリシア達を助けだすぞ!」

「行動は早い方がいいって事だな。」

「でも油断は禁物ですよ」

「我輩達は見ての通りパワーアップしたのてすぞ!大丈夫に決まってますぞリア殿!」

「頼もしくなったなルーガル!」

「のぶ殿も大船に乗ったつもりで任せて下さい!」

「言うようになったなお前は〜」


仲間達は皆笑う中、ただ1人難しい顔をしているコハク。


「どうしたんだよ?」

「いや、なんか簡単すぎる気がしてならないんだ」

「簡単すぎる?」

「ガネットへの侵入経路だ。何故彼処にあったのかがだ。」


まるで誘導されてるみたいに簡単にルートが見つかるなんて不自然な気がしてならないんだが。

それに、馬車がバラバラにされ備品が全て壊されていたのに何故この冷蔵庫だけは壊されず置かれていたかもだ。冷蔵庫の通り道を知ってるのは僕達だけのはずだ…魔人族側には知られてない…はずだよな?


「よし、俺達がアリシアを助け出すからのぶさん達は今回留守番な。」

「ま、宝救丁がないから変身出来ないし魔宝石も使えないしな」


チェンジエッグは手元にあるが宝救丁がない為使えず人口宝石も使えないときた。これじゃ確かに足手まといだからな。


「ベルは出来るだけ早く船を修理しといてくれ!」

「了解であります!」

「パーシーとポップは一旦レジスタンスに戻って情報を集めておいてくれ!」

「わかったわ!」

「レジスタンスが集めた斑鳩の情報をありったけ集めてくるぞ!」

「そうであります!2人にはこれを!」


ベルは2人に船の冷蔵庫に繋がる道を開く判子を渡した。


「それをドアかそれに準ずるものに押せば此処と繋がるでありますから。」

「ありがとうベル!」

「ベルサンキュー!」

「後必ず使い終わったら裏の宝石を押すでありますよ。船側はマーキングを一時的に消せるでありますが実は一方通行でありますから。使い終わったらそれで消すでありますよ!」

「じゃないと誰かが入って来ますから!」

「さて、明日に備えてもう寝るか〜」


涼達はそう言うと交代でシャワーを浴びると甲板の上の個室へ上がり備え付けのベッドで休んだ。



次の朝。

瓦礫の山に捨てられた冷蔵庫が開くと涼達五人がその中から出てきた。


「確かにガネットの外れの路地裏だった所だ!!」

「ここが、ガネットですと!?」

「ひでぇな。まるでゴーストタウンだな」

「住民はどうしたんだろう?」

「捕らえられたか、または服従させられたかだな。きっと」


あの泥棒女の事だきっとそうに違いない。


「さてと涼。作戦はどうする?」

「決まってんだろ!正面突破だよ!!」

「馬鹿丸出しだなオイ…」

「でもらしいですね。」

「うむ。それが一番の作戦ですな!」

「いや、作戦じゃないと思うんだけど…」


全く…ワンパターンはこっちも同じだなオイ。

涼達は瓦礫の山から城へ向かう。

ガネットはがらんとしていた。壊された街並みに汚された水路にあっちこちに見える血痕。

この街がいかに残酷で悲惨な事になっていたか想像が出来る。やがて城の前へやって来た涼達。

この街に始めて来た日にはいきなり悪党呼ばわりされるわ指名手配犯にまでされるわアリシアが強引について来たりと色々とあったが街の人々は俺達を信じて力を貸してくれたし信道の店だって最高のオアシスだったのに…あの泥棒女と斑鳩のクソ王子に全て壊された上に王様を公開処刑して…アリシアは天涯孤独も同じになってしまった。


涼達は湧き上がる怒りを胸に宝救剣を取り出し勇者石をはめ込んだ。


レッド!ザ!宝救武装!

ブラック!ザ!宝救武装!

ブルー!ザ!宝救武装!

グリーン!ザ!宝救武装!

ピンク!ザ!宝救武装!


「みんな!行くぞ!」

「「「「「宝救武装(ホウキュウチェンジ)!」」」」」


涼達の掛け声で5人の剣から光の粒子が吹き出すと5人の身体に纏う。光の粒子がスーツと鎧とブーツと手袋を形成し身につけ最後にパートナーを模したヘルメットをが装着され変身完了した。


「情熱のルビー!ホウキュウレッド!」

「激突のオニキス!ホウキュウブラック!」

「揺蕩うアクアマリン!ホウキュウブルー!」

「疾風のエメラルド!ホウキュウグリーン!」

「輝くピンクダイヤ!ホウキュウピンク!」


「「「「「勇気の宝石身に纏い!」」」」」

「宝石戦隊!」

「「「「「ホウキュウジャー!」」」」」


5人は名乗り終えると五色の花火が上がる。

花火が上がると城から武器を構えた兵士達が出てきてしまった。

そりゃ当たり前だ…毎度毎度何でやるんだよ!!


「おいでなすった!」

「俺とルーガルが雑魚を引き受けた!」

「皆さんは姫様を探して下され!」

「任せたよ!」

「2人とも気をつけて!」

「じゃあ行くぜ!そこを退きやがれっ!!」


涼達は武器を構えて城へ突っ込んで行く。

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