第132話 戦隊流の聞き出し方?

涼達はかつてカブトを見つけ出した巨大樹の森、ザン樹海へやって来た。

助けたレジスタンスによれば此処に基地を作ったらしい。

涼達は仲間達が旅先で出会った初代勇者の末裔の2人もレジスタンスに参加していたのだ。

レジスタンスの本部で顔合わせをする涼達。


「お前達が初代勇者の末裔なのか!」

「ええ。私はパーシバルよ。パーシーって呼んでちょうだい!」

「俺はポップだ!」

「俺は猿渡涼だ!」


涼は2人に握手した。


「アンタが今の勇者のリーダーなの?」

「話に聞いてたお馬鹿な奴ってお前なのか?」

「リーダー?お馬鹿!?お前ら何を話してんだよ!」

「事実だろ」

「我輩はただ涼殿が先導者と伝えたに過ぎませぬぞ!」

「別に俺はリーダーじゃないだろ」


そう別にリーダーではない。ドラマの特撮の方のホウキュウジャーでも別にリーダーではなかった。

むしろ全員が主役の作品だった。


「馬鹿なのは本当だ」

「うんうん」

「確かに」

「お前らな!!」

「あははは!」


腹を抱えて笑うポップ。


「本当にアンタ達が今の勇者なわけ?」

「一様な」

「ていうか首無しと蜥蜴アンタ達それ…どうしたの?」


パーシーは姿が変わった2人に指をさす。


「まあ、何だイメチェンって奴だ」

「我輩はドラゴンに進化したんですぞ!」

「なんかキモいわね…」

「「失礼な!」」


まあ、元がちょっとグロテスクだしな。


「で、何でアンタ達はレジスタンスに?」


涼はレジスタンス達に話を聞く。


「はい、アレは1ヶ月程前の事でした」

「は?1ヶ月!?ちょっと待て。俺達が魔界へ行ってからまだ3日くらいしか経ってないんだぞ!」

「でも斑鳩が侵略を始めてもう1ヶ月よ。」


どうなってんだ??魔界とこの異世界は時差がいやこの場合は時間の流れが違うのか?

どういう事なんだ??いや、今は状況の確認が先だな。


「話を続けてくれ」

「1ヶ月程前、ガネットが斑鳩帝国に落とされた日新たな斑鳩の新皇帝兼ガネットの国王に着いたジュリアンはアイカ女王と共にこの地を理想郷にする為に邪魔なものは排除して回っているのです」

「ガネットが落ちた!?」

「しかも新国王を掛け持ちとは!!」

「ルーガルさん。驚く所が違いますよ!!」


そうだ!そこじゃない!!就任した奴が大問題だ。


「泥棒女がガネットの女王だと!?王様は!?アリシアはどうしたんだよ!!」

「王女様は知りませんが、ガネット国王は…ジュリアン新皇帝に…時代の幕締めと公開処刑されました…」


は…?公開処刑された!?王様が!?


「嘘ッ!!」

「そんな馬鹿な!!」

「なあ?嘘だよな!?」

「頼む。嘘だと言ってくれっ!!」


仲間達は驚きを隠せない。

あの気さくで話しが解るガネット国王が…処刑されたなんて…


「クソがっ!!あの泥棒女!!」

「許せません絶対に!!」

「必ずや仇をとりますぞ!!」

「あのクソ王子が!!」


自分以外の血統はみんな根絶やしかよ。これで王位が揺らぐ事ないってか。ふざけんじゃねぇぞ!


「まてよ!王位はもうアリシアしか継承権はない。ていう事は!?」

「次は姫様が!?」

「あの物達に処刑されると!?」

「いや、もしかした…もう手遅れなんじゃ…」


「いや、大丈夫だ!」


奥から聞こえてくる声。

その声には聞き覚えがあった。


「たく来るのが遅いぞお前ら!」


「あ…」

「嘘だろ…」

「生きてましたか!!」

「馬鹿野郎!生きてんなら連絡しろ!」

「無事だったんだな!のぶさん!!」


そうホウキュウゴールドこと北村・ハヤガ・信道だ。

しかも、エプロン着てるし。


「のぶ殿!よくぞご無事で!!」

「のぶ。他のみんなは?」

「姫様は!?」

「三馬鹿はどうしたんだよ!?」

「なあ、のぶさん!!」

「お前ら落ち着けって!ていうかお前らそれ…コスプレ?」


「「「「だから違う!!」」」」


4人がいい加減にしろと声を上げた。


「一体何があったんだ?教えてくれ!!」


信道の話ではあの後魔王達に連れていかれ斑鳩へ引き渡される為にガネットへ連れてこられたがが信道だけは運んでいる途中で逸れたらしく逃げ延びそしてポップが見つけてくれてレジスタンスに保護されて料理番をしているらしい。


「まあ何だ俺はたまたま運良く奴らが落っことしたから逃げおおせた訳だ」

「じゃあアリシアも和樹達も斑鳩にいるって事なのか!?」

「いや、姫様は多分ガネットだ。俺と海斗達しか載せられなかったからな」

「まじかよ…」

「それはいつの話なんですか?」

「一週間前だ。のぶを見つけたのは!」


テーブルを走りリアに話すポップ。


「のぶ。そういえば宝救丁はどうしたんだい?」

「ああ、とられた。」

「取られただぁ!?」

「ああ、着いてすぐに奪われた。」

「どうして!?勇者の剣なら持ち主に戻るんでしょ!?」


パーシーがそう言った。


「本来はそうだが、蝦蟇爺の話じゃまだジルドレイの呪いが強く染み付いてるからそこは改善されてないらしい。」

「そうだ!マナリア様と蝦蟇爺さん!」

「2人は無事なのか!?」

「他に処刑されたって話はなかったから多分生きてるんじゃないかしら?」

「2人は無事ならいいんだけど」


いくら公開処刑がされてないとは言えそれじゃ確信がない。


「それに斑鳩帝国は黒い巨人を大量に従い見たことの無い武器と船で攻撃してくるもので全く歯が立たないんです」

「魔宝獣と戦艦か。きっと皇時也や間藤ジンも手を貸してるに違いない。」

「私とポップは勇者の末裔として我慢が出来なくて2人で生き残ったアンジェラ女王の元でレジスタンスを立ち上げたのよ」


パーシーとポップも故郷を追われ逃げて来たらしく。避難所として提供されたアンジェラ王国の城にて女王と話をつけて自警団事レジスタンスを旗揚げし何とかこれ以上の進行を止めてはいるらしいが。



「でも、偽勇者達が勇者の武器と称した変な武器の所為で最大のピンチなのよ」

「全く歯が立たない中、涼達が帰って来てくれたんだ」

「あの髭野郎がもってた武器だな!」


宝石で出来た斧だ。涼が破壊したアレ。

髭野郎はジュリアンから渡されたとか言ってたな。


「判らない事だらけだな。」

「涼。髭野郎ってのは?」

「ああ、此処へ来る前に倒して捕まえた敵の兵士だよ」

「アイツを捕まえたの!?」

「ああ。俺達の船にいる」


簀巻きにしてルビティラが連れて行ったのだ。


「なあ、一旦戻ってそいつから情報を吐かせるか?」

「そうだな。三馬鹿や姫様達の事もきっと知ってるはずだ」

「よし、ベルに連絡してここまで来てもらうか?」

「いや酷い有様だし無理はダメだろ。」

「それにつけられてこの場所がバレたらヤバイしな」

「よしゴルーケンを呼び出して船に戻ろう!」

「そうだな。ゴルーケンも喜ぶだろうし。」


凄い心配してたからな。


「よし、ここを出た原っぱでゴルーケンを呼びだそう」

「アンタ達船に戻るのよね?」

「ああ」

「なら私も連れていきなさい」

「俺も行く!」

「わかったいいぜ。仲間を助けてもらったしな。」

「涼。行くぜ!」

「それじゃ、私達も行って話を聞いてくるわ」


涼達はザン樹海から少し離れた原っぱまで行くと人口宝石を剣にはめ込みグリップを引いた。


「召喚(サモン)」


涼が剣を空に掲げると光が伸びると空に当たり光の扉が現れた。扉が開くとなかからゴルーケンが飛び出して来た。


「ゴルーケン!久々だな!!」

「アーアーアーアー!!」


ゴルーケンは嬉しそうに鳴きながら上空を旋回している。

ゴルーケンは降りて来た。


「デカイわね!」

「宝石獣ってこんなにデカイのか!!」

「さあ、乗るんだ。」


カイエンとルーガル以外はゴルーケンの背中に乗り込むとゴルーケンは翼を広げ勢いよく羽ばたき空へ舞い上がる。

ルーガルは自らの翼でカイエンは頭のみエネルギー体の馬、ゴーストホースに跨り空を飛ぶ。


「ゴルーケン帰るぞ!」

「アーアー!」


ゴルーケンは声を上げながらベルが留守番している船まで一気に飛んでいく。

船にはそんなかからずに飛んで行けた為まもなく到着する。


「ベル!聞こえるか?」


涼は宝救バックルを取り出すとベルと連絡する。


「涼さんでありますね!」

「ああ、のぶさんを見つけた。」

「のぶさん無事でありましたか!」

「訳は後で話す。取り敢えず結界(シールド)を解除して格納庫を開けてくれ!!」

「格納庫にはまっぱの変態がいるでありますよ。簀巻きにはしてるでありますが…」

「その簀巻きに用があるんだ。じゃあ、頼むぞ!」

「はいであります!」


ベルは通信を切る。


やがて船が見えてきた。

船は涼達が来るのを確認し周りに貼っていた結界(シールド)を解除すると後ろの格納庫が開いた。

ゴルーケンは地面スレスレに飛び格納庫に入ると涼達を降ろして小さくなる。

そして再び結界を張る。


「これがアンタ達の船…」

「デカイな」


格納庫では簀巻きにされた鎧男がパンツ一丁で簀巻きにされ宝石獣達に遊ばれていた。


「んぐ!んぐ!」

「ワニ!」

待てや噛んでやる!!

口まで塞がれ簀巻きにされている鎧男は尻に噛み付くワニ爺に逃げ回り、あえて巨大化したルビティラが踏みつけようと追い回している。


「待て踏ませろティラ!」

「んぐ!んぐ!」


命の危機を感じて簀巻きになりながら必死にぴょんぴょん跳ねて逃げ回る。


「何やってんだお前ら!」

「お帰りティラ!」

「何で簀巻きな上に追い回してるの?」

「こいつ口を開けば頭にくるティラからね。だからお仕置きティラよ!」


おいおい…


「あ、のぶ。お帰りティラ!」

「今更だなルビティラ…」


やれやれと苦笑いする信道。


「さてと」


簀巻きにされている鎧男の口を塞いでいたテープを剥がす涼。


「プハッ!貴様俺を殺す気か!!」

「どの口が言うか!」

「ティラ!」


ルビティラは尻尾で鎧男をぶっ飛ばした。


「ぐはっ!」


鎧男は格納庫の壁に顔から激突した。

うわ〜マジで痛そう…

鎧男は鼻血たらたらだった。


「おい髭野郎」

「あん?」

「お前の知ってる事を洗いざらい吐いてもらうぞ!」

「フン!誰が貴様に話すものか!!」

「やれ!」

「ティラ!」


ルビティラは巨大化し鎧男を踏んづけた。


「ぐえ!!潰れる!!」

「だったら話せ!」

「話すか人殺しが!」


鎧男は一向に抵抗する。


「ワニ爺」

「ワニ?」

なんじゃ?


「召し上がれ!」

「ワニ!」

いただきまーす!


ルビティラは離すと鎧男を縛り上げてる紐を加え口を開けているワニ爺の口の上にぶらぶらと吊るした。

もちろん大きくなる。


「ワニ!」

でわ、いただきまーす!


ワニ爺は吊るされた鎧男に噛み付く。


「ひい!や、やめろ!」


鎧男は身体を動かしワニ爺から必死に避ける。

ワニ爺は舌舐めずりしながら口を開け閉めしている。硬そうな宝石の牙が光る。


「ワニ!」

あーん!


ワニが鎧男の尻に噛み付くと履いているパンツが千切れた。

千切れたパンツをペッと吐き出すワニ爺は再び舌舐めずりしながら口を開く。


「ぎゃあぁぁ!本当に俺を食わせる気か貴様!」

「嫌なら話せ!」

「話すか!」

「ルビティラ!」

「いただきまーすティラ!」


ルビティラは鎧男を丸呑み。


「ぎゃあぁーーわかった!わかったから話すから口に咥えるなーーーー!!」


泣き叫ぶ鎧男。


「ルビティラ離せ」

「ティラ!」


ルビティラはぺっと痰を吐くように勢いよく吐き出すと鎧男はまた地面に顔をぶつけた。


「貴様!正義の味方のする事じゃないぞ!」

「ガタガタうっせえよ!」

「さて、洗いざらい吐いてもらえうか?」

「逃げたら」


リアが鎧男の股間の手前で勢いよく剣を刺した。


「男の命終わりますよ?」

「は、はい…」


鼻垂らしながら涙を流し急に大人しくなる鎧男。


「どうしたんだ?」

「しーらない…」


男性陣も下を抑えて恐怖する。


「さてと、斑鳩の馬鹿王子は何で世界征服を始めたんだ?」

「そんな事しるか!」

「ルビティラ!」

「あーん!」

「ひい!た、確かアイカ様のお願いで始めたとか何とか言っておりました!!」


は?泥棒女のお願いだと!?

またあの女は本当に…人を貶めることしか考えてないのかよ。


「成る程な…あの泥棒女ならやりそうだ。お前の持ってたあの武器は何だ?」

「アレはジュリアン様に選ばれた銃士隊の証として頂いたのだ」

「銃士隊?他にも貴様みたいな馬鹿がいるのだな?」

「馬鹿とは何だエリマキトカゲ!」

「ラルトル!」

「ギャオッ!」

こいつしばいたる!


ラルトルは爪で鎧男の髭を切り裂いた。


「ひい!貴様ら本当に勇者か!?正義の味方のする事じゃないぞ!」

「どの口が言うかどの口が!!」

「いててて!!」


鎧男の耳を引っ張るコハク。


「止めなさいよコハク!」

「だがリア!」

「こうやって痛めつければもっと素直になりますから」


リアはどす黒いオーラを醸しながらパキケファログローブを装備し硬いダイヤの拳を当てるとカキンカキンといい音がする。


「落ちつこうなリア!それ以上はやめるんだ!!」

「離して下さい信道さん!姫さまの仇を今ここで!」

「まだ死んでないからな!姫様は!」

「お止め下さいリア殿!!」

「気持ちは分かるがそれは後にしろ!」


結局ボコるんかいお前ら!


「な、わかったら洗いざらい吐けいいな?」

「わ、わかった!もう嘘はつかんから!!」


涙目になりながら声を上げる鎧男。


「今の勇者って怖いわね…」

「だな…」

「みんなピリピリしてんだよ」


そりゃ色々あったからな。


「で、アリシアは何処だ?」

「三馬鹿は何処だ?」

「マナリア様と蝦蟇爺さんは何処ですか?」

「のぶ殿の宝救丁は何処だ?」

「斑鳩のクソ王子と泥棒女は何処にいるんだ?」


「「「「「早く吐け!タコ殴りにされたいか!」」」」」


「もうされとるわ!」


鎧男は叫んだ。

確かに宝石獣達にタコ殴りにされたわな。


「お前達らしくないぞ…」


やれやれと思う信道。


「ガネットの姫は知らん。包丁みたいな武器なら同僚が持っている。陛下は斑鳩、王妃はガネットだ後は知らん!」

「嘘じゃないよ?」

「ティラ!」


巨大化し口を開けるルビティラ。


「や、やめてくれ本当にそれ以上知らないんだ!」

「本当だな?」

「三馬鹿が何処につれ行かれた事もしらないのか?」

「命をかけるからこれ以上その怪物の口に入れないでくれ〜」


情けない奴だな。こんな子供騙しの脅しで泣き叫ぶなんてよ。


「たく、本当にこれ以上知らないみたいだな」

「知らない。本当に知らない!」

「で、俺の剣を持ってるお前の同僚って何処にいるんだ?」

「た、確かガネットに居たはずだ!!」


いきなり泥棒女の所かよ。

まあ、アリシアを助けださなきゃならないからな。都合はいい。

とりあえず聞き出せたがこいつはしばらく簀巻きにするか。

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