第102話 料理人最大の敵!害虫G増殖
魔界へ行く為の材料集めの旅を始め3チームに分かれた仲間達。
こちらはルチルを探す為に大陸の先のアマゾンへ向かう信道、リア、海斗の料理当番チーム。
現在はゴルーケンに乗り込み空の旅をしている。出発してはや3日半が過ぎようとしていた。
空の旅と言ってもゴルーケンも休みながらでないとならない為だ。
「もうすぐ着きますね!」
「パラケウス大陸でしたよね?師匠!」
「ああ、確か祖父さんが店を開く際にいくつか似た食材を探す旅に出た時に行った大陸と言っていたな〜」
そうこれから向かうパラケウス大陸は様々な食材がある。リンノウ村と言う場所があるアマゾンにルチルがあるらしく目的地はそこだ。
「結構長い旅でしたね」
「行く途中にいくつも人が住んでる島国があったから何とかなったな」
「ベルちゃんが最短かつ便利なルートを示してくれましたから」
「それにキツくなったらプテラもいますから安心して行きましょう!」
そうゴルーケンが疲れてもプテラがいる。
しかし、戦いがあるわけではない為このままで行く事にしたのだ。
「交代で行けば速いですよ師匠!」
「駄目だ。いざとなったらプテラの速さと戦闘力が必要だからな。だから温存しとけ!」
「師匠、わかりました!」
「すっかり仲良しですね。お二人共!」
「ええ、師弟ですから!」
「バーカ。お前なんかまだまだ厨房には立たせらるか!」
相変わらず厳しい信道。
「わかっています!師匠、新しい技をどんどんお願いします!」
「厳しくいくからな!」
「はい!」
海斗は嬉しそうだ。
何も無かった頃の自分とは違う。料理を通して俺は変わるんだ!!
「アーアー!」
ゴルーケンが声を上げる。
「大陸に着いたみたいだな!」
ゴルーケンのコックピットから見える画面で目の前に陸が見えるのを確認した。
「アレが自然の大陸…」
「パラケウス」
「さあ着陸だ!ゴルーケン!」
「アーアー!」
ゴルーケンは声を上げると降下し誰もいない広い草原に着陸した。
三人はゴルーケンから降りる。
「殺風景ですね」
「いきなり人里に降りるわけにいかないからな」
「成る程!さすが師匠!」
「常識だろ。ゴルーケンありがとな!ゆっくり休んでくれ!」
「アーアー!」
ゴルーケンは小さくなり信道の鞄の中に入り込み眠り込んだ。
「今、どの辺りでしょうか?」
「えーと確か」
信道は人口宝石をチェンジエッグに入れてスイッチを押すと卵の上にプロジェクションマッピングが現れた。
「あ!この先に村がありますね!」
「目的地まではまだありますな…」
「仕方ない村を経由して馬車の乗り継ぎだな」
「そうですね。急ぐ旅ではありませんし」
「まあ少しは急ぐがな。いくら完成に一か月かかるとは言えな」
「寄った村で食材の調達もいいですよね師匠!」
「ああ、いい経験になるしな。暫くは現地の食材で晩飯を作るし。いいかこれも修行だ!」
「はい!楽しみですな!」
海斗は一目散に走り出す。
「あ、海斗さん!危ないですよ!」
「早く新しい食材を見たいんです!先に行きまーす!」
「全くガキかアイツは…」
「まあ、すぐ着きますから」
2人がそう言ってると。
血相変えて戻ってくる海斗。
「あ、戻って来た」
「なんか様子が変だぞ」
「師匠!大変ですぞ!村が村が!」
「落ち着けどうした!?」
「奴が奴らが街に!!」
「奴ら!?」
まさか魔人族。
「料理人の敵Gです!!」
「はい?」
「Gだぁ?馬鹿か厨房じゃないんだ。いたって平気だろ!」
Gって何を言ってるんですか?
「もとい太郎さんの団体なんですよっ!」
「アホか!いくらなんでもそんなビビる事じゃないだろ?あんなもんに。自然に居るのが普通だろ」
「いやありゃ普通じゃないですよ!」
「あの?さっきから何の話ですか?」
話が読めないリア。
さっきからGだの太郎さんだの?何の話ですか?
リアは知らないこれらは飲食業界で使われる奴の呼び名だ。客を不愉快な気持ちにしない為の。
「とにかく早く来てください!」
海斗が急かす為村へ急ぐ信道とリア。
そこでは信じられない程の悍ましい自体になっていたのだった。
:
「なっ!?」
「ひっ!!何ですかアレは!?」
「アレがGもとい太郎さんです!」
「馬鹿野郎!ゴキブリがあんなデカくて大量発生してる訳ないだろ!」
「いやアレはどうみても魔物サイズのゴキブリですよ!!」
そう村はなんと大量発生した巨大なゴキブリがたむろっていたのだ。
ゴキブリ達は無差別に食べもを食い漁り周りにある植物は愚か動物の骨まで転がっている。
「き、気持ち悪いです」
「ていうかゴキブリってこんなデカかったか?」
「師匠、それは漫画の中の話です」
「漫画?」
「絵が大半を占める本です。」
まあ俺の時代には余りありませんが。
確かどっかの星に放したゴキブリが脅威になるって話を見たような。
いや、あれはまんまの太郎さんがデカくなってるだけで全く関係すらない。
「流石にこの先にはちょっと…」
「渡りたくはないよな…仕方ない遠回りで別のルートを探して…」
「師匠!みて下さい!!」
海斗の指の先にはゴキブリに追われている親子の姿が。しかも喰われそうになってる!?
「師匠!」
「助けましょう!」
「ゴキブリに包丁は向けたくないんだが」
「ねずみは思いっきり捌いていたじゃないですか!!」
仲間になった時に散々ミンチにしてたじゃないですか!
いやでも汚い虫は嫌だろ。
「お二人共早く!」
一足早く海斗は剣を取り出し勇者石をはめ込む。
イエロー!ザ!宝救武装!
「信道さん!」
「わかったよ…」
2人も剣を取り出しリアは剣に勇者石をはめ込み、信道はチェンジエッグに勇者石を入れてボタンを押す。
ピンク!ザ!宝救武装!
へい!とりあえずゴールド一丁!
「「宝救武装!」」
「乾杯!」
三人は走りながら変身した。海斗は一目散に飛び出し親子を襲っている巨大ゴキブリを叩っ斬る。
「早く逃げて!」
親子を逃した矢先、斬られたゴキブリはまだ死んでおらず頭だけの状態で海斗に襲いかかる。
「うわ!」
間一髪のところを信道が濁酒銃で頭を貫き息の根を奪う。
「ゴキブリは頭だけで一週間は生きるんだぞ!完全に頭を潰せ!」
「師匠それを早く言って下さいよ!!」
「それくらい知ってるだろ!」
「知りたくありませんよ!ウエポンアップ!」
リアはパキケファログローブを装備し巨大ゴキブリの頭をペシャンコに叩き潰した。
確かに頭を潰せば動かなくなる。
「こ、怖い…」
「お、オイ…リア?」
「弱点が判れば一気に潰します!だから2人は邪魔です!」
ゴチンッ!
「「ぐはっ!?」」
リアはそう言うと2人をぶん殴り林へぶっ飛ばした。
「痛たいぞリア!」
「何するんですか!」
「こうする気です!」
リアは地面を思いっきり殴る。
バリバリバリバリと地面にヒビが入り特大の地割れが起きた。
巨大ゴキブリ達は地割れに次々とハマっていく。
「「いっ!?」」
2人は度肝を抜いた。
ゴキブリ達が1匹残らず溝にはまりひっくり返っている。起き上がり地割れから這い出ようと登るゴキブリ達。しかし…
「我が地の怒りに触れしは害を齎す害虫!汚れし身体をその地の圧に潰れ肥しとかせ!」
リアの身体からものすごい勢いでマナが吹き出しグローブにエネルギーが貯まる。
「グランド・サクリファイス?!」
リアは詠唱を終えると地面を思いっきり殴る地割れが一気に閉じ中にいたゴキブリ達が一気に押し潰された。
「し、師匠…怖いっす…」
「奇遇だな俺もだ…」
「ふう、終わりましたね!」
リアは変身を解くと満面の笑みだ。
怖いわ!あんな笑顔であいつら潰したのかよ!!
なんか太郎さんが不憫に感じました。
お前ももう普通にゴキブリでいいだろ!
料理人として不潔ないい回しは出来ません!
真面目か!お前は!ていうかまだ従業員見習いだろお前は!!
いつまで回想シーンで遊んでるんですか!!
2人も変身を解いた。
「しかし何だったんだいったい」
「あの巨大な太郎さん達は!?」
「もう何でもいいや」
信道は諦めた。
「村には誰ももう居ませんね」
改めて村を探索するがもはや誰もいなかった。
「そう言やさっきに逃した人達はどうした?」
「確かあの林の先へ行きましたよ」
「行ってみましょう!」
三人はさっき逃した親子が向かった林の先へ進む。
「あらま…」
「これは…」
「マジかよ…」
何と林の先は避難所だった。
おそらくさっきの村の住人だろ。
何でこんな近くで避難してるんだ!?
三人は状況を聞く為に避難所へ入って行く。
「なあ、ちょっと聞いていいか?」
「旅の人かい?ここにはもう食えるもんなロクにないぞ!」
「いや食いモンじゃなくてだな…いや待て食い物が無いってどういう事だ??」
「みんなあの巨大なゴキブリに何もかも奪わたんだ!!」
避難してきた村人の男がそう言った。
「おかげで何日もロクな物を食べてなくて」
「うわあぁぁん!」
泣き出す子供。
「そんな…」
「師匠!」
「わかってるさ!なあそのロクな食材を見せてくれや!」
避難した村人達に案内された先では確かにロクなもんがなかった。奴らが手をつけてないのはネギ類と避難した人達がかき集めた硬くなったパンや魚の骨や野菜クズばかりだ。
「こりゃ食べ物というか残飯じゃないか」
「あのゴキブリ達か?」
「いえ、私達が必死に周りから集めた物です。魚はなんとかなりますが、何分この通り避難してきた住民が多くて直ぐに魚は食べ尽くしてしまうんです」
後あるのは食べ終えた感じの貝殻かよ。
「この辺りの村じゃ食べ物を求めてもこんなゴミクズしか恵みゃしない!」
「可哀想…」
「師匠!何とかなりませんか!?」
「う〜ん…これらは全部あのゴキブリ達が手をつけてないんだな?」
「あ、ああそれは保証する!」
害虫が触れてないなら…まあ何とかなるか…
「海斗!」
「はい!」
「炊き出しの準備だ!」
「炊き出しって材料もないじゃないですか!?」
「あの虫けらが触ってないなら何とかするさ」
「なあ、魚のアラとか骨は残ってるか?」
「あ、ああ捨てる場所がないからな」
「よし、海斗、リア!お前達はこの避難所にある食料庫から固まったパンやジャガイモやネギ、後、魚のアラや骨や野菜クズありったけ探して持ってこい!」
「わかりました!」
「食料庫からですか?」
「使っていいか?」
「構わないが、ロクな物が残ってないぞ」
「2人共行って来い!」
「「はい!」」
カイトとリアは避難所の食料庫へ走る。
食料庫には確かにロクな物が残ってない、枯れたネギ類と芽が出まくった芋とカチカチパンと袋詰めされた魚の残りカスくらいだった。ご丁寧に魚は冷やされいたのか臭いは大丈夫だった。
「師匠!持ってきました!」
「流石にこんなのはつかえないんじゃ!?」
「お!大量だな!こっちも準備できたぞ!」
信道はいつのまにか出したキッチンセットと大鍋を出している。
「これで一体何を作るんですか?」
「師匠何かアイデアが!?」
「おう!こっちも捕まえといた!」
信道はビンを取り出すと中にはバッタがぎっしりだ。
「ちょ!信道さんソレ!虫!!」
「バッタなんか食えないっすよ!!」
「いやこれはイナゴだ!」
「イナゴって田んぼとかで見かけるあのバッタの仲間の??」
「そうだ!こいつは佃煮にすると美味いんだぜ!さあ、始めるか!」
信道は鉢巻を絞り包丁を取り出しまな板をセット。
片手には宝救丁を構えている。
「お、おい一体何を作る気なんだい?」
「腹減ってんだろ?」
「俺たち金なんか…」
「いらないよ。サービスだ!」
信道ほ水の玉を作り出しプカプカ浮かせる。
「水の魔宝術ですか!?」
「さすが師匠!」
「見てないでお前らは芋の芽を取れ!」
「は、はい!」
「わかりました!」
2人はジャガイモの芽を切り信道に渡していく。
「よしまずは!」
信道は魚のアラと骨を見事な包丁捌きで粉々に切り刻み潰しあっという間に魚の骨とアラ
はミンチになった。
「次はネギだな!」
信道はまな板に置いたネギを刻み細くし、銀のボウルにミンチにした魚のアラと骨に刻んだネギを入れ次に細かくした生姜を混ぜ、持って来た岩塩を削り味付け。そしてよくこねる。
「ちゃんと処理してくれたおかげでこの魚達は使える!」
「魚の骨やあんな食べれるか判らないしょぼいネギが」
「団子に!?」
「師匠!できました!」
「よし、かせ!カイトお前は佃煮の味付けだ!」
信道はそう言うとカイトにネギ1本と持って来た生姜に醤油にみりんと砂糖と岩塩を渡す。
「この前大師匠の元で習いました!」
「よし!任せた!リア、お前はこのタネで団子を作れ!一口サイズだぞ!」
「は、はい!」
リアは信道と変わりタネを丸める。
「次は!」
信道はジャガイモを水の玉の中に投げ入れ宝救丁を回すと水の玉が回り出しジャガイモを綺麗に洗う。
次にもう一つ水の玉を作り出すこちらは沸騰していた。ジャガイモの入った水の玉が破りお湯の玉に入ると一瞬でジャガイモは茹で上がりすかさず信道はお湯の玉をパンと破るとジャガイモを巨大なボウルに纏めていれるとチェンジエッグに人口宝石をはめ込みボタンを押し宝救丁を裏の切れ目にスライドさせる。
「重力宝石!」
ジャガイモは全てあっという間にマッシュポテトに早変わりした。
「ん!いい感じ!師匠お願いします!」
「どれどれ!んまあまあだな。いいだろ」
信道はそう言うといつのまにか下処理したイナゴを鍋にいれ蓋をした。
その間に硬くなったパンを粉々にしさっき海斗がとって来た鳥の魔物卵を割りその中に刻んだパン粉を入れた。
「海斗!」
「はい!エメラルド!」
海斗は真宝剣にエメラルドを入れ小さな竜巻を作り出しパン粉と卵をよく混ぜると、蒸し粉々のジャガイモを丸めると投げ入れジャガイモのタネにパン粉がコーティングされていく。
「リア!」
「はい!」
リアほ大量の油を鍋に入れ熱々にしていた。
そして飛んできたジャガイモを入れていき上げるとコロッケの出来上がりだ!
「さてとメインといくか!」
信道はまるで給食用の鍋に刻んだ岩塩に持って来た故障とダシパックを入れる。
その間にリアが作ったつみれを鍋にどんどん入れていく。
信道は鞄から大量のお椀や皿を取り出し、あらかじめ準備したテーブルに並べた。
リアと海斗はトレイに入れたコロッケとイナゴの佃煮そして特性つみれ汁が出来上がり炊き出し飯が完成した。
「あ、あんな残飯からこんな食事が!」
「さあ、冷める前に食べな!」
避難した人達は皆群がるように並び食事を受け取っていく。
「う、美味い!」
「これは精がつく!」
「こんな美味い飯は久々だ!!」
避難した人達は満面の笑みを浮かべて久々の暖かい食事で気力と笑顔を取り戻していった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます