第22話 アリシア・フォン・ガネット
「いたか?」
「いえいません!」
俺達は犯罪者集団ホウキュウジャーを撃退した。残党がこの崖下のどこかに落ちた筈だがおかしい事に見当たらない。
「奴ら何処に行ったんだ?」
「死んだんじゃないですか?」
「いや、死体がないから死んでないだろ」
しかし何処に行きやがった。
「勇者様方、私に考えがありますわよ!」
「アイカ!何だい?」
「この犯罪者を餌にして釣り上げましょう!」
アイカの後ろには顔中痣だらけ血だらけの散々殴られた涼が気を失い転がっている。
「餌ですか?具体的にはどうやって?」
「決まってますわ、公開処刑ですわ!」
アイカは君の悪い笑顔で答えた。
:
「いててて!リアもっと優しくしろよ!」
手当してくれてるリアに文句を言うカイエン。
「カイエンさん頭外して痛がらないでください!普通に怖いです!」
忘れがちだが俺はデュラハン!頭外れてるのが普通だ変身するとがっちりくっつくんだよ。
「仕方ないだろ!頭離れても神経はつながってんだよ!」
「でも、怖いです普通に!」
「仕方ないだろデュラハンなんだから!」
「言い争ってる場合じゃありませんぞ、アタタタ…」
皆、涼の機転のおかげで無事だった。
どさくさに紛れてカブトが馬車ごとその場を飛びさり離れたのだ。
今いるのはザン樹海とガネット国王の中間にある村の近くだ。涼が生きている事は知らない。
コハクはフードを被り耳を隠して尻尾は巻きつけて亜人である事を隠して村で買い出しをしている。
全くどこへ行っても…僕らは指名手配か…
コハクは目に移る自分達の手配書を見て頭が痛くなる。
コハクが食材の袋を片手に戻ろうとすると、今日の新聞に目がいく。
「明日、捕らえた犯罪者の公開処刑をガネット国王の広場で行われるって!!」
コハクは銅貨を払って新聞を買って急いで馬車に戻ると中にある秘密基地に飛び込んだ。
「何っ!?涼が生きてる!!」
「本当ですか!?」
「ああ、間違いないだろ!」
コハクは新聞を広げた。
宝石獣達も集まってきた。
「確かに涼殿だ!」
「生きてたんですね!」
「あの馬鹿生きてやがった!」
「ティラ!」
涼ーー!ルビティラが入り口に顔を突っ込んで来た。
「ルビティラ入ってくるな!入り口が壊れるだろ!」
「ティラ!」
だって!だってじゃない!
「おちつけルビティラ!」
ルビティラは相棒が生きてる事がわかり嬉しくてしょうがなかった。
「喜ぶのはまだ早いだろ、涼を助けないと!」
「だがこれはどう見ても罠だろ絶対!」
確かに俺達をおびき出す為の罠の可能性が極めて高い。あの泥棒女がやりそうなこった。
「でも涼さんをみすみす処刑なんかさせません!」
「当たり前だ、あの馬鹿に一発食らわせないと気が済まないからな!」
「だが、どうやって乗り込む?城は衛兵で固められてるから無理であろう!」
「確かに騒ぎを起こしたら即涼は蜂の巣だろうな…」
前みたいに騒ぎに紛れて助けだすのは無理っぽいな。
「それに王都に入れるかどうか検問もありますから」
そこなんだよな…王都にはまず俺達は入れないしな…
「きっと宝救剣もとられてますよね!」
「だろうな…涼も宝救剣を探さないと意味がない…」
「涼は城の地下牢だろうな」
となると、宝救剣を探して涼を助けて脱出だな、けど衛兵が問題か…後何処にあるかだな?
「探すにしても何処だろな…」
「多分泥棒女が持ってんじゃないか?」
「確かにあの女なら持ってそうですな」
確かにあの女なら奪って持ってそうだが、手元にあるかは別口だ。
「何にしても王都に入って涼を助けないと」
「でもどうやって入るんだ王都に!」
あ…基本王都には入り込めないどうしよう…
「キロ!」
あたしの出番じゃなーい!なんだよオネエ恐竜。
「アンちゃん王都に入れるんですか?」
「キロ!」
あたしが穴掘って王都までのトンネルを作るわよ!トンネルか!下からなら判らないかも。
「お願いしていいですかアンちゃん!」
「キロ!」
リアちゃんの為ならあたし力かすわよ!ありがとうアンちゃん。
「よし、それで行こう!」
その夜、俺達は王都の離れの森にからアンキロに穴を掘らせて王都へ向かう。体格は少し大きめになり。
ルーガルが王都の地図を見て方向を知らせる。
「この先が地下牢ですな!」
「アンちゃん上掘ってください!」
「キロ!」
任せなさいよ!
トンネルが開通し俺達は穴から顔を出した。
カイエンは頭を出して見渡すが。
「あれ?城の牢屋じゃない?」
「何!?」
コハクは松明を片手に辺りをみわたす。
「確かに城じゃないです!」
出た先は城の牢屋ではなかった。あそこより狭い何処かの牢屋だ。
「ルーガルお前間違えたのか?」
「変ですなちゃんと見ましたぞ!」
「キロ…」
それ違う地図よ!オイこら!
「馬鹿か変な所に出たじゃないか!」
「す、すまない…」
「ん?誰かいるぞ!」
コハクは穴から出て牢屋の中を見る。
「女の子ですか?」
そこには足は繋がれて錘をつけられ身体中埃塗れで決して綺麗とは言えない姿の少女がいた。
「何でこんな所?つかこの牢屋何処だ?」
見た限り地下牢みたいだ、石田畳みに石の階段で上に上がれる。
「助けましょう!」
「犯罪者だったらどうすんだよ、やめとけ!」
「犯罪者にしては幼なすぎますよ!」
リアは宝救剣で扉を切り裂いた。
ガタンと鉄パイプが切れて床に落ちた。
「大丈夫ですか?」
リアは埃だらけの少女を抱え起こす。
「う…うん…貴女は?」
「私はリアです」
「リア…さん…」
埃だらけの少女は口を開き答えた。
「なあ、嬢ちゃん。ここに男はいなかったか?」
「きゃーーー!おばけ!!」
「大丈夫です味方ですから!」
リアは少女をなだめた。
「おばけじゃねえよ!」
「話ややこしくなるから、ストップだ。ねぇ、ここに人間の男が放り込まれなかったか?」
「男の人?いえこのガリウス邸の地下牢には誰も…」
「ガリウス?どっかで聞いた気が…」
「あ!泥棒女の!」
アイカとか言う泥棒女の名前だ!じゃあ、ここはあいつの家の地下牢か!
「城じゃなくてアイツの実家の地下牢に出ちまったのかよ!」
「あの?貴女方はいったい?」
「ああ、僕達は仲間を助けに来たんだ」
「お仲間を?」
「涼さんって言う勇者の方を!」
「勇者…!!貴方達が噂のホウキュウジャーって言うギルドの方々なの!?」
いやギルドではないが、涼の言う戦隊も正義の味方のチーム言ってたから、似たようなもんか。
「ああ、一様な…」
「僕達は犯罪者じゃないからな!」
「知ってます!私、赤い人が村を宝石獣と守ってるの見ましたから!」
え?涼とルビティラを見た?この娘いったい?
「馬車で移動してる時偶然魔人族に出くわして、逃げた村の先でをあの人が現れて赤い鎧を身に纏い骨の怪人を倒したんです!」
俺達と会う前の涼か!
「その方が犯罪者なんて何かの間違いです!私は訴えようしたら捕らえられて…お願いします私をここから連れ出してください!」
おいおい、何を言い出すこのガキは…
「連れ出せってお前一体?」
「私はガネット国王第1王女で王位継承権第1位 アリシア・フォン・ガネットです」
「「「王女様ーー!?」」」
三人は声を上げた。
:
「結局居処は吐かなかったか」
「これだけ痛めつけてもまだ…」
「吐けば楽に死ねたものを…」
ガネット王国の噴水広場の早朝、十字架の様な形の丸太に縛られている。
さながら異端者を火あぶりにするあれだ。
「口を割らないとは強情な犯罪者だな貴様は!」
「王様よ…悪いけど…アンタのお姫さんは…あった事すらないから…知らないよ」
「黙れ!この悪魔め!貴様が我が宝をアリシアを亡き者にしたとアイカ達から聞いている!それでもシラを切るか!」
何で俺がお姫様を暗殺した事にされてんだよ。事の話は俺達が馬鹿勇者に負けたあの後だ。俺はコイツらに捕まり宝救剣もとられた。仲間の居場所を拷問で聞かれたりしてもうボロボロだ。
しかも、俺達が国を訪れる少し前にこの国の姫が誰かに誘拐されたらしく、その犯人が俺達とぬかしやがった。
「俺達が…人を誘拐して…殺してなんのメリットがある?」
「お黙りなさい!私の可愛い従姉妹をこの国の王女をあの騒ぎに紛れて誘拐して亡き者にしたのは私の信用たる者達から聴いてしってるんですわよ!」
それ絶対魔人族だろ。
「話をそらすなよ…メリットの話だろ!」
「メリット?貴様らが国を支配するのがメリットですわ!」
「それはアンタのメリットだろ」
「何ですって!」
みえみえ何だよアンタの悪知恵ってやつは!
「えーいこの者の口を塞げ!そして火あぶりにし処刑しろ!」
涼の口を布でふさがれ、十字架にした丸太の根元に松明を置き丸太を燃やす。
みるみる火が大きなりやがては涼に火が移るだろ。
「やっとクエスト終了だな!」
「後四人ですね!」
「なーにこいつ無しじゃ直ぐ捕まるさ!アイカもこれからは居るしな!」
「ええ!私が世界を良くしてみせますわ!新たな勇者として次期王族として」
アイカは涼の宝救剣を空へ掲げる。
俺の剣…あそこかよ…周りには俺を嘲笑い俺を犯罪者としか見てない国民ばっかりか…まあ、俺が勝手に始めた戦隊だ…皆んなが無事なら…もういいかな…あーあー俳優のオーディション…もっと受けたかったな…涼は潔く死を受け入れようとしている。
「ウガァァァ!」
ちょっと待て!!
城壁を破壊して巨大化したルビティラがガネットへ侵攻してきた。
「な、何だ一体!」
「ルビーの宝石獣!」
「ティラ!」
退けや!ルビティラは尻尾を振り回して衛兵達を蹴散らすと涼を丸太ごと持ち上げて助け出し床に置いた。
「ル、ルビティラ…」
「ティラ!」
涼来たぞ!と力強く声を上げるルビティラ。
グラグラ
「な、何だ?地震か?」
「違います地面から!」
「キロ!」
間に合ったかしら!アンキロが地面から飛び出した。
「ありがとう、アンキロ!」
「アンちゃんご苦労様!」
「ダイヤの宝石獣!何をしてるの矢を放ちなさい!」
アイカの指示で衛兵達が弓矢を雨の様に放つ。
アンキロが穴に覆いかぶさり堅い甲羅が弓矢を全て弾いた。
「お父様!」
「アリシア!アリシアなのか!」
アンキロの掘った穴から王女アリシアが出てきた。続けてカイエンとルーガルも出てきた。
「お父様!アイカ様に騙されないで!」
「アリシア!お前は死んだんじゃ!」
「いえ、私はガリウス家の地下牢に二週間前から監禁されていました!」
「な、何だと!?」
お姫様登場?どうなってんだいったい?
「アイカ!アリシアは死んだと言うたじゃないか?どういう事だ?」
「アレは偽物ですわ!そこの犯罪者共にはアンデットがいますその力で偽物を作ったに違いませんわ!」
またぬけぬけと大嘘を言いやがった。
「偽物ではありません!その証拠はこれです!」
アリシアの胸から眩い光の宝石が輝いて現れた。
「アレは!我が王家の宝石アレキサンドライトの輝き!我が王家が勇者の末裔の証の宝石!」
は?勇者の末裔!?つかあの宝石は何だよ!?アレキサンドライトって宝石の王の異名がある高純度のダイヤみたいな宝石だよな。
「そうです宝石神の宝石ですこれを宿す者が王位を受け継ぐ!けして偽物にはない王の証です父上!」
アレキサンドライトはアリシアの中に消えた。つか、宝石神?
「確かにアレキサンドライトは王族が受け継いだ宝石、死しても移らぬ宝石姫の証!」
「アイカ様!貴女もご存知ですよね?アレキサンドライトは具現化しない限り奪う事は出来ない、死体からは奪えない事を!」
「ちっ!!」
「この宝石は宿主さえも触る事叶わない王の宝石。具現化現象は今まで類を見ません貴女はまるで何かを知っているから私を誘拐して監禁した何故ですか?」
「アイカ貴様どういう事だ!」
「王位を得る為ですよ陛下!」
「パパ!」
うわーなんかいかにも小悪党そうな小太りが現れたなおい…
「ガリウス卿!」
ガリウス卿。ガネット国王の義理の弟である。
「姫さまはまだ年若い我が娘アイカを次の王に指名して頂く為です!」
「馬鹿を言うか!王位はアレキサンドライトを受け継げる我が王族の者だ!」
「アイカがアレキサンドライトを姫さまより頂ければ王位は我が娘の物。陛下達の負担は減りますとも」
いい事言ってる様で要は国を寄越せと言ってんじゃねえか!
「アレキサンドライトは具現化は出来ぬ代物だいかる方法でも不可能だ!」
「魔人族ならできますよ!」
パチンと指を鳴らすガリウス卿。
すると周りから魔王軍の兵士達が現れ国王を取り囲み。周りの民間人を襲い始めた。
「な、何をする止めないか!」
「やめて下さいガリウス卿!」
「いいですよ、姫様は我らと来ていただけるなら!」
「貴様!そこまでして王位が欲しいか!」
「欲しいのはアレキサンドライトですよ、陛下!」
「ガリウス卿!貴様!」
「放て!陛下には安楽な安息を差し上げなさい」
兵士達が弓を雨の様に放つ。
「スキやり!」
カイエンは頭をアイカに投げつけた。
「え?」
ちゅ❤️
「あら?」
「い、イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
アイカは叫びカイエンの頭を蹴り飛ばした。
カイエンの本体がどさくさに紛れて宝救剣を奪い涼に投げた。
「涼これ!」
コハクからアクアマリンを受け取りはめ込みグリップを引き水の壁を作りガネット国王達を守る。
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