第17話 探せ宝石獣
俺達は王都ガネットへ援助を願いに行った。しかし、そこは魔人族が後ろ盾になっている城下町だった。仲間になったワニ爺と共に俺達は西の港町 カイアナスへ向かう事にした。
ワニ爺の話では他にもまだ宝石獣達が生き残っているらしくそれらも回収しつつ目的地へ向かう。
アレから馬車で数日。
俺達は馬車の中の秘密基地で地図を広げて調べていた。
「まずは樹海へ行き宝石獣を探さないと」
「ワニ!」
この辺りの樹海にサイカチムシがいる。…多分。多分かよ!ワニ爺しっかりしろよ。
ワニ爺は地図の上でそう伝えた。
「ワニ爺の話が本当ならこのザン樹海にいるはずだなここは虫型の魔物が多いから可能性は高い」
ザン樹海ここにサイカチムシとか言う宝石獣がいるんだな!
「ワニ!」
サイカチムシは樹液が好きな宝石獣だ。だからまず樹液のなる木を見つけろ!といっているが、結構無理言ってるよワニ爺。
「なあワニ爺そのサイカチムシって起きてるのか?」
「ワニ!」
唯一ワシと同じく眠らなかった宝石獣だ。ワニ爺も眠ってなかったんだな。
「なら簡単ですな虫といえども巨大な宝石獣なら容易い!」
「ワニ!」
奴は普通の昆虫と大差ない大きさで活動しているすぐには無理じゃ。は?小さいのかよ!
「普通の虫と大差ない大きさってどうやって探すんだよ!樹液つったて凄いあるんだぞ」
まじかよ昼間カブトムシを探しに行くようなもんだ。見つかる訳ないし。
「ワニ!ワニ!」
奴は吸った樹液を溜め込み身体を琥珀にしているはずだ光に反射しやすいはず!手掛かりまるで無いのかよ。
「広い樹海はひたすら探せってことか…」
「まあ宝石だから光に反射しやすいなんとかなるだろ」
「そうですね!」
「まあ虫だからなすぐみつかるだろ」
俺達はようやくザン樹海に到着した。
しかし…ザン樹海は無茶苦茶デカイ木ばかりでそこら中から樹液が出ている。
「え…こんなデカイ木から小さい虫を探すのか」
俺は馬車から顔を出してみるとこんな樹齢何百年かさえ判らないようなデカイ木の何処にいるんだよ。
「これは…」
「絶対無理だぞ…」
「リザードマンでも探すのは苦労しますな」
「ワニ爺絶対無理だぞ!」
「ワニ!」
なら元になった宝石をはめて召喚すればよいって最初からそう言えよ!
「ワニ!」
だが、琥珀を見つけるのは簡単ではないぞ。
え、琥珀を探すのかこの森につか何処にあるんだよ!
「手分けして探すしかないか」
「馬車は?また見つかったら大変です」
「ワニ!」
これだけ深い樹海だ簡単にはワシらは見つからんさ。確かにこんだけ深い森なら隠れやすいな。
「わかったワニ爺、ルビティラみんなを頼んだぞ!」
「ティラ!」
「ワニ!」
任せろ!
任しとけ!
二匹も強い宝石獣が守れば大丈夫だろいざとなったら巨大化すればいいしな。
俺達は分かれて木に出来た穴や周りの洞穴など調べて琥珀を探したりあとまあ宛にならないが、小さいサイカチムシってやつを探す事にした。
コハクとリア、カイエンとルーガル、そして俺は1人でこのやたら植物のデカイ森の中を当てもなく探している。
「カイエン殿、一つ聞いてもよいですか?」
「何だよルーガル」
「そんな網で宝石獣が捕まるんですか!?」
カイエンは虫取り網を片手にルーガルとペアでザン樹海を歩いている。
何故か頭は虫取り籠の中に入れて提げている落ちないようにする為だ!他に入れ物はないのですかな??
「爬虫類のくせに昆虫の事しらないのか?食べるはずだろ蜥蜴は!」
「確かに爬虫類ですがリザードマンは主に魚や卵を食べております!蜥蜴ではないです後虫くらい知っておりますぞ!」
それに我輩の食べる虫は主にイナゴの食用の魔物ですぞ!
やっぱ食べるじゃないか!
「だったら普通の虫もわかるだろ!小さいなら所詮は虫けら!これで十分だ!」
「クァーキィーー」
ん?なんだ今の気味の悪い泣き声は…
俺達は後ろを振り向くと…デカイ蟷螂の巣から白い蟷螂の幼虫が這い出て落ちてきていた。ちなみに蟷螂の子供は産まれてすぐ食い物を求めます!
「「あーーーー!!」」
蟷螂の幼虫の大群に追いかけられる二人。つか気持ち悪い…
「あんなデカイなんて聞いませんぞー!」
我輩達が食べた奴とは大きさが違いすぎますぞ。
「黒の森は基本いないからなあんな昆虫魔物はよ!つか、ついてくんなーーー!」
二人はひたすら逃げた。虫ってこんな凶暴だったか!?あっちからみりゃ俺達が小さいのかよ!こりゃ宝石獣どころじゃねーよ!
「ひっ!」
「どうした、リア?」
「今悲鳴が聞こえなかった?」
「ん?いや…」
しかし鬱蒼としてじとーとした森の中だな…
しかも周りの虫は無茶苦茶デカイし。
辺りにはデカイチョウに蜻蛉に蟷螂に飛蝗までるのか…後…
「ひっ!?」
リアはビビリまくってる。
「どうしたリア?虫が怖いのか?」
「虫は大丈夫よ!あんな大きいなんて普通に怖いから!」
「確かにな…」
普段は小さい虫を見慣れてるしな、僕達はよく虫取りをしていたから虫はある程度は大丈夫だが、ここまでデカイいのまじまじと見るのは正直確かに怖いな…昆虫は何げに人間なんかよりずっと優れた力を秘めてるからな…
「まあ魔物とはいえ虫だから大丈夫だって、こっちから刺激しないなら」
「いやーーー!!」
リアが泣き叫びながら上にひっぱられてる。
げ、蜘蛛だ!
蜘蛛の巣が上にあったのか!?しかも高い木だし。
「リア!待ってろ!」
僕は宝救剣を取り出しチェンジストーンをはめ込む。
ブルー!ザ!武装!
「武装!」
コハクは変身すると高くジャンプして宝救剣にアクアマリンをはめ込み水の刃を放ちリアに絡みついていた蜘蛛の糸を切り裂いた。
「きゃー!」
糸が切れ落ちるリアをコハクが地面に着地してキャッチした。
「あ、ありがとう…」
「気をつけろよ!」
コハクはリアに絡みついた糸を切るとリアは開放された。
「しかたないでしょ!いきなり上にいたんだから!」
「言葉の使い方が違うだろ…」
やれやれとチェンジストーンを外し変身を解除するコハク。
「じゃあアレは何よ!」
「何だいった、い!?」
リアに無理やり顔を上に向けられ見た先には毛むくじゃらのデカイ蜘蛛の大群がお尻から糸を出してぶら下がっている。
「オイ、アレまさか降りてこないよな…」
「た、多分…」
そう糸が切れてなければ…だがさっきコハクが放った水の刃はリアを縛っていた糸だけでなくあの蜘蛛達を支えていた巣の糸まで切ってしまっていた。
「「落ちてきたーー!!」」
二人は声を上げながら走る。
蜘蛛達は次々と落ちては起き上がりコハク達を追いかけてくる。
「何で追いかけてくるんだー!?」
「コハクが巣を壊したからでしょ!!」
「僕のせいだって言うのか!?」
「だってそうでしょ!!」
言い争ってる場合か!
わかってるわ!とにかく今は逃げるしかない!
蜘蛛の餌なんて、絶対にイヤーーー!
二人もひたすら逃げるしかない。
「みんな大丈夫かな」
俺は一人樹海を歩いている、しかし虫がこんなデカイか普通??いも虫も蛹もデカイし蜂まで馬鹿でかい。
こんな所からサイカチムシとか言う宝石獣を探すのは無理だ絶対…琥珀すら見つからないぞ。
しばらく歩くと一歩のデカイ木が見えてきた。そこには樹液が沢山出ている匂いもメープルシロップみたいだな。
その大木には巨大な蝶や蛾に蜂にカブトムシにクワガタムシと群がっていた。
「ひえーカブトムシまでデカイのかよ!」
まさかこの世界にカブトムシがいるなんてな、クワガタムシまでいるわ!
「ん?何だあれ?」
木の根元にやたら小さいカブトムシがいた。
まあ標準サイズだが。
あれ?あのカブトムシなんか変だぞ?見た目もだが何か光ってる。
「これは…」
そのカブトムシはピカピカに太陽光にあたり光っているいや虫じゃない!
「宝石獣だよな?」
俺は木から琥珀のカブトムシを捕まえた。
近くで見ると本当に琥珀で出来ている!めっちゃ値打ちありそうだな!
「カブトムシの宝石獣か!まあサイカチムシってこいつじゃないか」
サイカチムシってどんな虫だがしらないが、このカブトムシも生き延びた宝石獣なんだろう。可哀想だし逃してやるかな!
「放て!」
「え?」
いきなり矢の雨が放たれてくる。
俺はとっさに琥珀のカブトムシを抱えて守る。放たれた矢は昆虫達にも命中し皆大木から落ち息をひきとる。
「ち、外しましたか!」
「あ、泥棒女!」
「泥棒ではありませんわよ!犯罪者!」
は?犯罪者だぁ!?
「貴様達犯罪集団ホウキュウジャーは今や指名手配されてるんですのよ!」
アイカは指を指し嫌味たっぷりの笑顔で涼に言い放つ。俺達が指名手配犯だぁーー!?
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