思い出も無ければ、偲ばれることもなく……

思い出あふれる30年の生涯と、何もできずに終わる60年の生涯とではどちらがいいのだろう?

生まれる前にどちらか1つを選べと言われたら、迷わず前者を選んだだろう。


ただ、人生は2通りではない。

千差万別だ。

0歳で死ぬ人もいれば、100歳まで生きる人もいる。

思い出あふれる100歳の人がいれば、何もできずに終わった100歳の人もいる。

私自身、障害者という括りだけど、寝たきりではない。

天涯孤独の寝たきりなんて、短期間なら経験済みだけど、アレは一瞬で詰むね。

それでも、実際にそういう人は、どこかにいる。

本性と建前を使い分ける人間社会では、精神がもたない。

今の私には無理だね。


私はアタリでもなければ、ハズレでもないのだろう。

凡人という括りの中で、人知れず消えていく存在でしかない。


誰にも負けない才能がほしかった。

生きていける環境がほしかった。

運がほしかった。


こんなに苦しい人生なら、初めからいらなかった……。

あまりにも苦しい……。


この苦しみは、私と同じ人生でなければわからない。

同じ人生の人間は、この世に一人としていない。

無念だね。

私自身の存在も含めて、何もかもを墓場まで持っていくしかないとはね。

まぁ、墓場と言っても、私の墓は作られないけど……。


思い出も無ければ、偲ばれることもなく……


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