城跡を訪ねて

石垣の前に立つ。

彼らは、いったいどんな思いで、この巨石を積み上げたのだろう。

当時の石工の技術は凄いけど、命令した奴とされた奴とでは雲泥の差があったはず……。

身分制度は、いつの時代も当たり前のように存在する。

『生まれた瞬間に全てが決まる』というのは、今も昔も変わらない。

今は、表向きは、そうではないとされているだけで、実際は、生まれた瞬間に全てが決まる。

エジプトのピラミッドと日本の城とでは、違うのかもしれないけど、結局、この大きくて重い石を運んで積み上げたのは、職人という呼称で美化されている奴隷でしかない。

統治していた武将の名前は、代々伝えられて、どんな人物でどんな功績だったのかがある程度はわかるが、この石を積み上げた一兵卒のことは誰にもわからない。

私という人間も、後世の人から見たら、どこにも存在していないね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る