アスファルトまで

ここは、マンション最上階の階段だ。

少し強めの風が吹いている。

ここより上は、施錠されていて行けない。

階段は吹きざらしになっている。

私は、そこから景色を見ていた。

もう、人生の全てに疲れ果てた。

生涯、彼女ができない人生なんて、生きていても意味は無いし、存在する価値も無い。

出会えない運命と人生が死ぬほど悔しい。

人間の力では、どうすることもできない。

同じ1回きりの人生なのに……。

この景色は、人間関係ゼロの天涯孤独でなければ見えないだろう。

宇宙、哲学、時間、瞑想、心理、神秘、数学、思想、宗教、自然、地球……が、私の世界になだれ込んでくる。

生きるのしんどい。

人生は、無念すぎるほどの無念しかない。

自殺をするか、殺人をするか、残された人生の選択肢は2つしかない。

何のために生まれてきた?

何のために存在した?

アスファルトまで、約2秒……。

あのアスファルトまで、約2秒……。

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