第17話 元飼い主とゲーム その1
学校が終わったら速攻でジムに行った。
給食を食べた後に絵理奈が作ってくれた弁当を食べた為、激しい運動をして摂取したカロリー分を消費しようと考えたんだ。
定期的にはジムに行っているが、今日は余分に食った分激しくトレーニングをしないといけないと思ったんだよ。
結果、疲れた。
会長が「ついにプロを目指す気になったか!」とひたすら勝手に喜んで、いつも以上に厳しく指導してきたんだ。
何度も否定したんだけど聞く耳持たず。
一度思い込んだら聞いてくれない人だからなぁ。
夜の七時にはジムを出て、家に帰って速攻夕飯を食べる。
そして自分の部屋に駆け込んでゲーム機を準備する。
今日は絵理奈とモンハ○をやるんだ、ずっと楽しみで仕方無かったんだ!
準備は完了していつでも出来る状態だ。
すぐにプレイできるようにキャラクターは予め作成済みだ。
俺はメッセージアプリで絵理奈にメッセージを送信する。
『準備完了、いつでも行けるよ』
返事はすぐに返ってきた。
『ごめん! 私はもうちょっとかかる』
そしてパンダが泣いているスタンプが直後に送られてきた。
スタンプの絵が自然と絵理奈の顔に脳内変換されるあたり、俺はなかなかな重症だなって思う。
『慌てなくていいからな。後、アプリで通話しながらゲームする?』
『うん! それでお願い!』
そして今度はデフォルメされたウーパールーパーが笑顔満天で「わーい、わーい」と喜んでいるスタンプが送られてくる。
うん、可愛い。
非常に可愛い。
ちなみに俺はスタンプをほとんど使わない派だ。
男が使っても、何か気持ち悪いって思っちゃってるんだよね、俺。
とりあえず俺は待った。
何故か正座で。
――忠犬か!!
渋谷でひたすら飼い主を待っていた、忠犬か!!
確かに前世は犬だけど、今は立派な人間だし!
やはり魂の根っこの部分は犬なんだろうか……?
そして約束の夜九時になった。
その瞬間、メッセージが届いた。
『お待たせ、準備オッケーだよ! もう通話しちゃって平気?』
おっ、もう通話出来るのか!
もちろん返事はこうだ。
『大丈夫だよ』
俺が送信するとすぐに既読が付いた。
そしてスマホが震える。
絵理奈からのメッセージアプリを使った通話だ。
俺は素早く出た。
「も、もしもし」
『あっ、繋がってる?』
「ああ、繋がってるよ」
何だろう、胸が高鳴りすぎて息苦しいんだが。
俺、まともに話せているだろうか?
『――えへへ、玲音くんの声だ』
嬉しそうな、そして甘えた気な絵理奈の声を聞いた瞬間、一瞬意識が飛びかけた。
俺の元飼い主、可愛すぎてつらいっす。
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